クィーンズランド州北部の録音で、現在では使われなくなったとされている竹の笛や、太鼓など珍しい楽器の音収録。ディジュリドゥはこの地域では現在演奏されない。
■北クイーンズランド州の音楽(Alice M. Moyle著)
■CAPE YORKの録音を含む音源
『Songs from the Northern Territory』(CD
1962-63/1996 : AIATSIS)シリーズで知られるAlice M. Moyleによるクイーンズランド州北部で集められたカセットです。このカセットにはディジュリドゥの演奏は含まれていないが、アボリジナルの楽器としては非常に珍しい竹の笛や、太鼓の音などの楽器の演奏が収録されています。
Cape York半島の西海岸中部にあるAurukun、そしてその北に位置するWeipa、Aurukunの南のKowanyama、ケアンズとKowanyamaとのちょうど中間地点程に位置するWrotham ParkのCape York半島にある4つのコミュニティに加えて、Carpentaria湾南西部に浮かぶ島Mornington島とその少し南のBentinck島で1966年に録音されている。
下記はカセットのジャケットに書かれているライナーの翻訳です。各曲については解説がライナーには載せられておらず、各曲のレビューはここでは追加していません。
■北クイーンズランド州の音楽(Alice M. Moyle著)
ここに収録されている音源は、1966年に行われた膨大な録音の一部で、北部クイーンズランド州、特にCape York湾西部におけるアボリジナル音楽の特別な特徴を明らかにするために集められた。
オーストラリアのアボリジナル音楽とは「Vocal Music」で、オーストラリア大陸を通して楽器の伴奏付きの歌、もしくは伴奏なしの歌のどちらかである。
一般的な役割として、それらの楽器は木製の簡単な構造で、実演の目的、もしくは儀式目的だけで吹き鳴らされる。このカセットに収録されている単独で演奏している楽器は小さな竹の笛だけである。[B面トラック4]
録音は、Weipa、Aurukun、Kowanyama(以前はMitchell River ミッション)、Wrotham Parkの居留地で行われ、Carpentaria湾の南西にあるMornington島からの短いセレクションも含まれている。
このカセットの補足には、Cape York半島の東沿岸のアボリジナルの居留地Yarrabahで同じ年に録音された『Songs from Yarrabah』(Cassette 1966 : AIATSIS)がある。
オーストラリアの地図を一目見れば、Cape Yorkの先端とTorres海峡とパプア・ニューギニアが近接していることがすぐわかる。Cape Yorkでは、ダンサーがマスクを使い、Torres海峡の島々の儀式で用いられるものに良く似た、木の皮を細長い断片にしたもので作ったスカートをはき、北クイーンズランド州でのみ使われるスキンドラムを打鳴らすということで非常に有名である。
ここに録音されている歌のほとんどが、古代の歌と踊りを覚えていた年長の男女達によって歌われている。その中には、少しの知識(長老達は私達には教えてくれなかった)を持っていることを認められている歌い手がいれば、十分な知識がない近隣の歌い手達のグループに属する歌を歌う者もいた。Cape Yorkでは、歌を習うこと以上にダンスを学ぶことは、若い男性の通過儀礼の重要な部分として強調される。
歌と踊りは「Story」ほど真剣に扱われなかったが、「Shake-a-leg Dance Song(足を震わせるダンス・ソング)」はより広くひろまり、その内のいくつかはスキン・ドラムの伴奏とともに歌われ[A面トラック2]、有名で人気のある「Island Way(Torres海峡の島々の歌のスタイル)」での歌では、スキンドラム、種をガチャガチャと鳴らす音、ギターにウクレレが使われることがある。
こういった歌の多くは、たった数秒の短い部分に分られており、特にこの地域の特徴である呼び掛け声や叫び声、その他声のサウンドの繰り返しがその短い部分を区切っている。Mornington島とBentinck島の間には、はっきりとした相違があるが、Bentinck島の録音はMornington島でなされている。(Bentinck島の人々は1948年にMornington島に移住させられた。Bentinck島のGayardiltの歌は、喉を締め付けたユニークな効果のある歌唱法で歌われている。[B面トラック7]
-Alice M. Moyle-
|