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A CHANGING CULTURE -Songs from Mornington Island
A CHANGING CULTURE -Songs from Mornington Island
NO No Number
Artist/Collecter Paul Memmott & Robyn Horsman(Recorder)
Media Type Cassette
Area 南、東アーネム・ランド、ケープ・ヨーク、Mornington島
Recorded Year 1975-78
Label Social Science Press
Total Time 60:00
Price 2,100 yen
Related Works
ABORIGINAL SOUND INSTRUMENTS BUDAL LARDIL -Songs of Mornington Island MORNINGTON ISLAND CORROBOREE SONGS -Authentic Dance Songs of Australian Aborigines on Mornington Island MUSIC OF AUSTRALIA and MELANESIA メラネシアの音楽 SONGS FROM NORTH QUEENSLAND TRADITIONAL ABORIGINAL MUSIC -Sounds from the Bush
教育用キット(廃刊)に付いていたカセットのラスト・ストックを限定17本入荷。Mornington島、Groote Eylandt、Numbulwarなどの音源を収録。

■曲とナレーションの解説
■MORNINGTON島の録音を含む音源

『A changing culture/The Lardil Aborigines of Mornington Island』という本とカセット、それにスライドという形で教育用に作られていたキット(廃刊)のカセットです。本は製造元には既になくなっているが、カセットのみ17本残っており、そのラスト・ストックを入荷しました。もうどこでも買えない激レア・テープです。元々ライナーは付属しておらず、コピーで作ったと思われるタイトルがカセットに張り付けられている。

A面にMornington島の伝説の語り、B面にMornington島の歌を半分、残りがCape York、Borrollola、Groote Eylandt、Numbulwar、Roper Riverの録音が収録されており、全体的に音質はあまりよく無いが、最後のGroote EylandtとNumbulwarのディジュリドゥが収録されているダンス・ソングは生き生きとした様子が伝わって来る躍動感溢れる内容で、ディジュリドゥもすさまじい。1975年と1979年の録音です。

以下の「曲とナレーションの解説」は、ライナーと曲リストが全く無いため、録音中のナレーションの英語おこしがそのままタイトルになっています。聞き取りにくい英語や現地のアボリジナルの人々の言葉とアーティスト名のスペルはかなり不確かです。またライナーが無いため、全て私的な観点で音楽的響きのみをとらえたレビューになっています。ご了承下さい。

■曲とナレーションの解説
SIDE A : STORIES AND LEGENDS IN MORNINGTON ISLAND told by Henry Peters

SIDE B : MUSIC AND SONGS FROM MORNINGTON ISLAND
1. Ian James' Song2. Male dancers from Mornington island 3. Public dancers4. Popular comedy dance about an Indian Hawker5. Traditional baby's lalaby songs I 6. Island music from Torres Strait by Berackle(?) people

MUSIC AND SONGS FROM GULF OF CARPENTARIA
7. Music from Cape York Peninsula8. Drums of Lockhart river9. Mundhi style of dancing from southern gulf of Carpenteria10. Whandi tribesmen from Gunetji11.Borroloola singer12. Songs from Eastern Arnhem Land, Groote Eylandt, Numbulwar, and Roper River
※曲名をクリックするとその曲の解説へ飛びます。

SIDE A : MORNINGTON ISLAND LEGENDS
A面は「Mornington Island Legends」というタイトルで約38分に渡って、Mornington島に伝わる物語をHenry Petersというアボリジナルの男性の流暢な英語によって語られている。中でも1トラック目に12分に渡って語られているThuwatuという名前で呼ばれているレインボー・サーペントの物語は特に秀逸。以下はその要約。

「年老いたThuwatu(レインボー・サーペント)には住む家があり、赤ん坊のいる妹には家が無かった。妹は、ブッシュへ食べ物を集めに出た時に雨に打たれ、彼女の兄Thuwatuに赤ん坊だけでも家に入れて暖をとらせてくれと頼むが、兄は断り、その赤ん坊は亡くなってしまう。怒った妹は、兄の家に火を放ち、命からがら身を半分やかれてThuwatuは助かる。

そして、Thuwatuは自分の身に何が起ったのかを自分の仲間に知らせるためにジュゴン・リバーの河口から、苦痛に身悶えしながら旅をする。彼が通った道には川ができ、彼が苦痛で身体をよじらせた場所に峡谷ができた。彼は地をはい、地中にもぐり、ようやく人々の所にたどり着く。そこでは、たくさんの人々が彼を待っていて、彼を見て自分達の身を切り血を流した(何のためか理由は説明されていない)。彼は帰路につくが途中で亡くなり、人々は嘆き悲しみ、泣き、そして鳥になった。そして今Mornington島にはたくさんの鳥がいる。」

Dugong Riverがどうやってできたかという物語で、特にThuwatuの旅が詳細に述べられ、どちらの方向に行き、どの場所で苦痛で何回身をくねらせて、どれくらいの深さまで地面がけずれたかなど非常に詳しく川ができていく姿を物語っており、興味深い。

SIDE B : MUSIC AND SONGS FROM MORNINGTON ISLAND
B面は「Songs from Mornington Island」というタイトルで、内容はMornington島の録音を6曲、Carpentaria湾の録音を6曲収録しており、Cape York半島、Lockhart River(Cape Yorkの東海岸)、Borroloola(東アーネム・ランド南部よりさらに南のクイーンズランド州)、そして東アーネム・ランドの島Groote Eylandt、Numbulwar、Roper River周辺の歌も録音されている。

曲のタイトルはテープで語られているものを聞き取ったものなのでスペリング、特にアボリジナルの言葉、アーティストの名前のスペリングは確実なものではないことをご了承下さい。

1. A songman first two songs is Ian James
Ian Jamesの歌を2曲収録。1曲目は、リード・シンガーの歌のリズムとディジュリドゥがユニゾンしているが、音質が悪いため、ディジュリドゥの細かいサウンドは非常に聞き取りにくい。Mornington島の歌に特有な、ブーメラン・クラップスティックを打鳴らす複数のソングマン達にディジュリドゥの伴奏が1曲目で、2曲目は歌とブーメラン・クラップスティックの独唱。

2. Male dancers from Mornington island play the dances at the reharsal ground. Rinji Rafsi(?) is the chief songman
最初にリーダーと思われる人物がグループに向かって話している会話が非常におもしろく「変なやつが来ている。変なやつが来て、新しい出来事や新しい物事を見に来ているぞ。前にはこんな奴はいなかった。テープで録音してるので、最高の歌を歌おう」という会話の後に、ブーメラン・クラップスティックのトレモロ・サウンドが続き、ディジュリドゥの伴奏の無い男性の力強い歌が2曲収録されている。

3. The reharsal is finished and public dancers are ready to bigin
録音状態が悪いため、明確ではないが、Cape Yorkで聞かれるスキン・ドラムのような音が聞かれ、多数のダンサーによる興奮した叫び声が聞かれる。

4. Popular comedy dance about an Indian Hawker
「何人嫁さんがいるんだ?」「20人!」「じゃ一体何人子供がいるんだよ?」「あ〜、アイツにコイツに.....」というような二人のアボリジナルのコメディアン的な人物達の会話と共に、子供達の笑い声が溢れかえる。そして拍手とブーメラン・クラップスティックと歌がはじまり、曲中で何度か子供達の笑いの渦が沸き起こるが、何が起こっているのかわからない。テープからは非常に陽気な雰囲気が伝わってくる。

5. Traditional baby's lalaby songs by tour women. Kate & Iso(?).
二人の女性によるゆったりとした歌を2曲収録。

6. There're small group Berackle(?) people living on Mornington island. At night when they are homesick, they often sing island music from Torres Strait.
Mornington島に住んでいるBerackle(スペルはライナーが無いために不明)の人々の歌。夜になるとホームシックになってTorres海峡の島々の歌を歌う。メロディックでハーモニックな複数のシンガーによるCape Yorkなどに見られるTorres海峡の島々の「Island Style」の音楽に非常に近い。ゆったりとしたテンポでの男女の歌声が非常に美しい。

MUSIC AND SONGS FROM GULF OF CARPENTARIA
7.The 1st section of the tape is from Cape York Peninsula and it was recorded at Aracune(?) Dance Festival in 1975

'75年のAracune Dance Festival(スペル不明)にて録音されたCape Yorkの音楽。『Music of Aboriginal Australia』(Cassette 1972 : Hibiscus)に収録されているCape Yorkのパフォーミング・グループの録音内容に非常に近い。スキン・ドラムとブーメラン・クラップスティックをバックに多数のダンサーが激しい叫び声を上げながら踊っている様子が伝わって来る。

8. Drums of Lockhart river
Lockhart RiverはCape York半島の東海岸に位置し、Cape Yorkのみで見られるスキン・ドラムを使った上記と似た様な内容の録音です。この地域の他の録音は『DRUMS OF LOCKHART RIVER -Aboriginal Music Old and New Volune1-』(LP 1970-71 : James Church Council)に数多く収録されている。

9. The next section is the popular Mundhi style of dancing from southern gulf of Carpenteria. The songmen are the Whandi(?) tribesmen from Gunetji Borroloola
東アーネム・ランド南部よりもさらに南に位置するクイーンズランド州のBorroloolaの音楽。この地域は西アーネム・ランドと東アーネム・ランドのダンス・ソング両方の演奏スタイルが入り混じった珍しい地域で、録音も少ない。一番多く収録されているのは、Alice M. Moyle博士の'60年代の録音『Aboriginal Sound Instruments』(CD 1963-68/1996 : AIATSIS)で、そのCDではより西アーネム・ランドのスタイルに近いものが収録されている。

しかしここで収録されているトラックは、どちらかと言えば北東アーネム・ランドの演奏に非常に近い。ディジュリドゥの演奏は、録音状態が悪いために明確ではないが、かなり力強くスピーディで音量もでかい。

10. Following song is also played by Whandi tribesmen from Gunetji. A lead singer is Jhonny Watson
このトラックも上記と同じクランの人々の演奏。トゥーツで曲がはじまるが、今度は打って変わってドローン部分は西アーネム・ランドの演奏スタイルのようなサウンドで演奏されている。単にこの2トラックを比較しても「全く別の地域の録音ではないのか?」と思わせる程、異なる演奏スタイルが混在している。ディープでスローなディジュリドゥのサウンドです。

11. The next song is by the Borroloola singers. It was a womanユs dance recorded at Dance Festival on Mornington island in 1979
複数の女性によるクラップスティックを伴った大合唱。

12. Firstly songs are from Eastern Arnhem Land and also recorded at 1979 Mornington island dance festival. They're accompanied by spectacular dancing performed by member of Groote Eylandt, Numbulwar, and Roper River. The last song is sung in a famous shaky voice style
このカセットの中でも最も秀逸な録音内容で、音質は悪いがフェスティバルでのパフォーマンスだけあって、ダンサー達の激しいコールと興奮した周囲の聴衆の雰囲気が伝わってくる。東アーネム・ランドのGroote Eylandt、Numbulwar、そしてRoper River地域のそれぞれを1曲づつ収録しており、いずれも激しくそしてスムーズにトゥーツとドローンが入れ代わる卓越した演奏です。2曲目には「Shaky Voice」で歌われているため、必然的にGroote Eylandtのシンガーによるものであり、またGroote Eylandtらしいシンコペーション感の強い楽曲である。

3曲ともすばらしいが、尻切れとんぼでおわっているのが非常に残念。全体的にダンサーの叫び声がリズミックで、曲の重要な部分を担っているように感じられる。3曲目のディジュリドゥの伴奏がクール。

■MORNINGTON島の録音を含む音源
・『A CHANGING CULTURE -Songs from Mornington Island』(Cassette 1975-79/1991 : Social Science Press)
・『ABORIGINAL SOUND INSTRUMENTS』(CD 1963-68/1996 : AIATSIS)
・『BUDAL LARDIL -Songs of Mornington Island』(CD 1988/1993 : Larrikin)
・『MORNINGTON ISLAND CORROBOREE SONGS -Authentic Dance Songs of Australian Aborigines on Mornington Island』(LP 1966 :W & G Records)
・『SONGS FROM NORTH QUEENSLAND』(Cassette 1966/1988 : AIATSIS)
・『TRADITIONAL ABORIGINAL MUSIC -Sounds from the Bush』(CD 1998 : ARC)