Goulburn島のLazarus Lamilamiや、Milingimbiの超絶イダキマンMudpoの演奏などすばらしすぎる内容。この録音の一部が探査船ボイジャーにつみこまれたという、いわくつき全宇宙的名盤。
■序 文(Sandra LeBrun Holmes著)
■ライナーの翻訳と解説
■GOULBURN島の録音を含む音源
北東アーネム・ランドとGoulburn島の録音が収録されており、Goulburn島のLazarus LamilamiやMilingimbiのMudpoのディジュリドゥの録音などの貴重な録音内容もあり、しかも録音状態が非常に良い。ディジュリドゥ・ソロも多数収録しており、中でも当時東アーネム・ランド1のイダキ・プレーヤーと言われていたMudpoとDarrangoyの演奏は圧巻!
他にも貴重なGoulburn島のすばらしいメロディの歌を多数収録。Goulburn島のディジュリドゥの名手Lazarus Lamilamiがセレモニアル・リーダーとして参加している。
東アーネム・ランドの録音では、最もすぐれた内容をほこるアルバムです。現在北東アーネム・ランドのGumatjクランのリーダーであるGalarrwuy
Yunupinguの若き歌声も聞く事ができる。彼のソロ・アルバムは『Contemporary Master Series
1 Gobulu』(CD 2001 : YYF)。またMilingimbiのマエストロMudpo(Mutpo)とDarrangoy(Darringguwuy)の演奏が『Songs
from the Northern Territory 4』(LP/CD 1962-63 : AIATSIS)のトラック2-3でも聞くことができる。
この録音内容がどれほどすばらしいかと言うと、1977年に発射された宇宙船ボイジャーに積み込まれた『The Sound of Earth』という銅製のレコードに、このアルバムに収録されている「Morning Star」ソングと「Devil Bird」ソングが収録されたという事実からもわかるだろう。
宇宙人も聞いているかもしれない全地球人必聴レコード!!!!
下記は、このレコードの音源の収集者Sandra LeBrun Holmes女史自身によって書かれ、LPジャケットの裏面に掲載されている文章の翻訳と、そのすばらしい音源の内、ディジュリドゥの演奏を含んだトラックに関しては演奏されている音やスタイルについてのレビューが「上記はライナーの翻訳」という文章からはじまる段落に掲載されています。レビュー部分でなされている言及は推測の域を超えるものではないという事をご了承下さい。Sandraの女性的で詩的な解説は学者的ではなく、非常に親しみの感じるわかりやすい文章になっている。
■序 文(Sandra LeBrun Holmes著)
「このアルバムの歌と音楽は、ニューギニアとオーストラリア固有の音楽を数年に渡って収集しているSandra LeBrun Holmesによって集められた。Sandraのオーストラリアのアボリジナルの人々の音楽への興味は、ニュー・サウス・ウェールズ州の西の羊牧場で育った子供時代から始っている。それ以来、アボリジナルの音楽と伝説を収集しながら西オーストラリア州を広く旅してきた。そしてアボリジナルの歌や踊りを学び、テレビでそれを披露したりしてきた。また時には、映画のディレクターをしている夫が作る映画のために録音の手助けをしたりしている。このレコードに収録されているアーネム・ランドの音楽は、バラエティに富み、見事な内容で、特にディジュリドゥの卓越したマエストロの演奏を集めてあります。-Sandra LeBrun Holmes」
■ライナーの翻訳と解説
SIDE A :1. Barnumbirr(Morning Star)|2.
Moikoi Song adn Devil Bird|3. Devil Dance|4.
Katabunga|5. Tractor Song and English Version of Tractor Song|6.
Fire Song|7. Blue Fly|8. Mourning Song|9.
Maningrida Song
SIDE B :10. Mundargin(Yam Song)|11. Jun-Barr-Barr|12. Indjalarrgu|13. Murrawa Gurra-The Goanna|14. Njidbi-Njidbi-The Grasshopper|15. Murrkundi-Little Black Bird|16. Ring Tail Possum|17. Wiedi-The Wallaby|18. Wurrpan-The Emu
※曲名をクリックするとその曲の解説へ飛びます。
SIDE A :
1. Barnumbirr(Morning Star)
曲がった広く白い砂浜と、海のさざ波の上に月光が降り注ぐ。タマリンドの木々の落とす暗い影の向こうには、たき火の光がまたたき、そして輝き、レンガ小屋の辺りに人影がはためいている。突然の風が木々を揺り動かし、どこかで永遠の孤独を憂うかのような犬の遠吠えが聞こえる。たき火の近くに座りこむと、死者の島「Burralkor」から毎日あがる「Barnumbirr(モーニング・スター : 明けの明星-夜明けに東の空にのぼる金星)」と、「Moikois(Sprits of the Dead : 死者の精霊)」について老人達が語り出す。モーニング・スターは毎日「Moikoi」達が引き上げ、世界に現れる。セレモニアル・リーダー(儀式を進める中心人物)である長老Djawaは、たき火の近くの砂地からクラップスティックを拾い上げ、Mudpoはディジュリドゥに手を伸ばしBarnumbirrの曲を演奏し、Djawaが星が上がっていく様子を歌いはじめる。
上記はライナーの翻訳。情景的で録音当時の状況が目に浮かぶような詩的なライナーの文章がすばらしい。イダキ・ソロ1曲の後にソングマンとのセットでの演奏の2曲が収録されており、イダキ・ソロのリズムは『YOTHU
YINDI-Tribal Voices』のトラック10の「Gapu」にも似ているが、クラップスティックの入る場所が違うので、「Waltjan」ではないかと思われるが曲名は不明です。
2曲目は、MillingimbiのMudpoのダイナミックな舌の動きがすさまじい「Morning Star」ソング。彼のイダキのサウンドは『AUSTRALIA
Songs of the Aborigines』(CD 1963/2002 : Albatros & King)にも似た感じだが、少し中央アーネム・ランドのスタイルにも似たカットアップするようなドローンが特徴的である。
2. Moikoi Song and Devil Bird
今、キャンプは静かで、たき火の炎は砂の中で消えている。風はタマリンドの枝の間をすり抜け、たき火の灰を小屋に打ち付けながら、波打つ海から浜辺に向かって吹きつけ、奥地の岩場に吹きぬけていく。霊がDevil Bird「Duruu-Duruu」を羽ばたかせ、大きな「Moikoi(Sprits of the Dead:死者の精霊)」がゆっくりと丘を下りてくる時、不安と恐怖でびくびくしながら演奏している。「Moikoi」ソングのディジュリドゥはMudpoで、歌はWaliparu。「Devil Bird」ソングの演奏はDua(Dhuwa)半族のMudpoによる演奏で、その中で、鳥の鳴き声を模倣している。
上記はライナーの翻訳。ゆったりとした長いドローン(持続低音)とトゥーツ(ホーン・サウンド)の繰り返しのみで異様な雰囲気が漂う「Mokuy (死者の精霊)」ソング。他の録音では全く聞かないタイプの曲で、イダキはかなり低目のピッチでディープなサウンドである。2曲目の「Devil Birdソング」は、うって変わってリズミックにドローンを同じ低いピッチのイダキで演奏しており、舌の動きでおこる高い倍音がリズムに合わせて聞かれる。
3. Devil Dance
私達は、Milingimbiから東アーネム・ランドのYirrkalaへと録音の場所を移動した。学校のベランダでは、10〜13才くらいの少年達のグループが、夜に踊りを踊るために地中からやってくる精霊についての歌「Devil Dance」を練習している。Galurrwuyという名前の美少年が、クラップスティックで正確な拍子を取りながら、歌をリードし、Balukuという名前の少年がディジュリドゥを演奏している。
上記はライナーの翻訳。女性の声に聞こえるほど透き通ったGalurrwuyの美しい声が印象的である。イダキは音量が小さいので少し聞きずらいが、高いピッチの若さ溢れるキレのいいサウンド。演奏しているのはGalurwuyと同年代の少年Balukuで、がっくりくるほどうまい。ジャパンガリという歌詞を大人数の子供達で合唱している。
4. Katabunga(Buffalo)
トラック3と同じグループに、同年代の少女達のグループが参加している。この歌は小さな池に水を飲みにやってくるバッファローの歌で、その小さな池では二人の小さな少女達が水しぶきを上げて泳いでいる。少女達はバッファローを見た時、びっくりして逃げ出し、Katabunga(バッファロー)が自分達を追い掛けてくるんじゃないかと想像している。
上記はライナーの翻訳。解説ではバッファロー・ソングとなっているが、「Wata Galkina-(風が吹く)」という歌詞で意味の無い子供の為の歌で、『Songs
from the Northern Territory vol.3』(CD 1962-63/1997 : AIATSIS)のトラック4と同じ歌。トラック3と同じメンバーによるスマイリーな大合唱がほのぼのとしてすばらしい!
5. Tractor Song and English Version of Tractor Song
Yirrkalaコミュニティの人達が初めてトラクターを見た時の歌で、Galurrwuyをリーダーとする少年達のグループによって歌われている。私はYirrkalaを離れて、今度は同じ東アーネム・ランドにあるElcho島を訪ねることにした。ある日、私がこの「Tractor Song」を鼻歌で歌っていると、回りの若者がその歌を教えてくれないかと尋ねてきた。アボリジナルの言葉の歌詞は思い出す事ができなかったが、歌詞の意味は知っていたので、Elcho島の子供達に英語で書いてあげた。
上記はライナーの翻訳。Galurrwuyを中心とした少年のグループによる歌とBalukaのイダキ。『Songs
from the Northern Territory 4』(CD 1962-63/1997 : AIATSIS)のトラック6で同じGalurrrwuyが歌っているジャッパンガリ2曲Cora(Delayed
Supply Ship)とBonba(Butterfly)と同じメロディであるため、この曲もジャッパンガリだと考えられる。
6. Fire Song
この歌は、男達が火の力をかりて狩りをする様子を歌っている。ちょっとしたゲームとカンガルーを捕まえるための罠のために火の輪が作られる。火の手が獲物に近付いて行く時、狩人達も同じように獲物に近付いていく。Galurrwuyをリーダーとするシンガー達の歌にBalukuによるディジュリドゥ。
7. Blue Fly
この歌は、東アーネム・ランドのMillingimbiのJirritja(Yirritja)半族に伝わる割礼の儀式のための歌である。
8. Mourning Song
これらの歌は、東アーネム・ランドのYirrkalaにてDua(Dhuwa)半族のDalwanguクランのある少年のために歌われた。
a). Spider Song
若い「Mokui(Mokuy : 死者の精霊)」がCaledon Riverの辺りのジャングルを旅する話で、彼は朝露がついた蜘蛛の巣がペーパーバークの木に垂れ下がっているのを見て不安になり、今来た道を振り返る。
上記はライナーの翻訳。ここで聞かれる圧巻のイダキ・ソロは、パワーとスピードを兼ね備えた、若くコントロールされたタイトな演奏である。『Australia
Songs of the Aborigines』(CD 1963/2002 Albatros)のトラック28-29も同じSpiderだがかなり曲調とリズムが違う。この曲の方がシンプルな展開になっている。かなりスピーディーなイダキ・ソロにつづいて、イダキと歌のセットでソロで演奏したリズムと同じものを演奏している。このトラックはすさまじい!
b). Old Moikoi Song
年寄りのMokui達は若いMokuiをみつめ、彼をはげますために歌う。彼は年寄りのMokuy達の所へいって一緒に座り、年寄りのMokuy達は彼に思いやりをもってその死を悼む。
上記はライナーの翻訳。ゆったりとしたリズムからはじまって、段々と早いリズムの曲に変化していく3曲をおそらくCorroboree形式で録音している。多数のシンガーによってユニゾンした同じ歌が臨場感溢れる雰囲気そのままに録音されている。特に1曲目のイメージにマッチングしたゆったりとした演奏はすばらしい。
c). Seagull Song
この死者を悼む歌は、Cape Wilberforceの潮の干満がある川の水が海とぶつかり合っているあたりをカモメが低く飛んでいる姿を伝えている。
上記はライナーの翻訳。カモメの鳴き声をまねたソングマンの舌をシェイクさせる動きはイダキの演奏にも使われるもので興味深い。残念ながら1曲収録しきれずに抜粋になっている。
9. Maningrida Song
Maningridaは北部中央アーネム・ランドの北沿岸部にあるコミュニティなのだが、東アーネム・ランドの男性によって歌われている。青年がある一定の段階に来た時に歌われるCorroboree(アボリジナルの歌と踊り)ソング。
上記はライナーの翻訳。ディジュリドゥはトゥーツのない中央アーネム・ランド独特のリズムとソングマンの牧歌的な美しいメロディがすばらしい。ディジュリドゥの音は小さいが、歌のメロディがひいでている。
SIDE B :
10. Mundargin(Yam Song)
東アーネム・ランド(実際は西アーネム・ランドの間違いと思われる)の沿岸から北にあるGoulburn島の歌。NungolominとLazarus Lami-Lamiの二人のセレモニアル・リーダー(儀式の全てを握り、進める中心人物)によってリードされた、女性達が旬の時期にヤムイモを集めるという歌。
上記はライナーの翻訳。Goulburn島の歌を特徴づける豊かなメロディ・ラインがミスティックな世界観をひろげている。ディジュリドゥの音も大きい音量で録音されていて、シンプルなリズムながら渋い演奏を聞くことができる。クラップスティックの4/4拍子(1+2+3+休)の典型的なGUNBORGのリズムと、遊びの少ない安定したディジュリドゥの伴奏をバックに、自由に歌うリード・シンガーのすばらしいメロディ、そしてダンサーによる「Eee-」というスラーした声が随所に入る好録音!10〜13トラックは同じディジュリドゥ・プレーヤーが演奏していると思われるが演奏者は不明。『Songs
from the Northern Territory 1』(CD 1962/1996 : AIATSIS)のトラック6でLamilami(1913?-1977)がディジュリドゥを演奏している。
11. Jun-Barr-Barr
Goulburn島のMaung語を話す人々によって信じられている死後の世界の巨人Jun-Barr-Barrの歌。その巨人はこん棒を持ち、死者の精霊達の住む「Wirah」という島を守っている。新しい精霊は、海を渡る前にまず、その巨人と戦って打ち勝たなければいけない。Nugolominにリードされたシンガー達による歌。
上記はライナーの翻訳。「Oho-」という長い一息でスラー(Descending Glide or Slur : 一つの音節のみを切れ目なく滑らかに下げていくアボリジナルの歌唱における特徴の一つ)していく詠唱ではじまり、常に一定のテンポをキープした曲調になっている。ディジュリドゥは衝撃的なくらいブラナシに近い。ディジュリドゥの即興性は非常に少なく、安定した同じリズムを繰り返しているが、常に聞かれるヴォイシングの妙がすばらしい。また他のGoulburn島の歌に負けず劣らず非常にキャッチーでメロディー豊かな歌である。2曲目は、途中でゆるやかなリズム・チェンジをしている。そのリズム・チェンジが印象的で、歌に隙間が多い分、ディジュリドゥの音がその隙間をしっかりうめている。歌とクラップスティックが抜けたディジュリドゥのみの部分があるのも特徴的である。
12. Indjalarrgu
人魚に似た女性が海からやってきて、月の光のように軽快に水面で踊りを踊る。
上記はライナーの翻訳。『Songs from the Northern Territory
1』(CD 1962-63/1996 : AIATSIS)のトラック4にも同じ「Indjalarrgu(子供もしくは人魚の精霊)」の歌が収録されており、解説もしっかりしている。南Goulburn島のMaung語のソングマンによって作曲された歌。メインの部分は非常にシンプルなリズムだが、ブレイク部分では非常に変わったリズム・チェンジをしている。
13. Murrawa Gurra-The Goanna
「Murrawa Gurra(ゴアナ)」が海岸に沿って這って歩き、草むらへと消えていく。この曲もGoulburn島のNungolominによって歌われている。
上記はライナーの翻訳。ディジュリドゥ奏者は、この曲では喉を使ったサウンドを強調的に使っている。多少声も使っているだろうが、プレッシャーを高く作ったダイナミックな演奏が目立つ。また曲へのフォローもタイトで、このプレーヤーの演奏はかなり際立っている。GUNBORGスタイルのすばらしいディジュリドゥの演奏である。
14. Njidbi-Njidbi-The Grasshopper
ある若い少女が祖母の家へ行き、夫の面倒を見てくれるように頼む。次の曲は、家に近付いてきている事を知らせるために火をつけ煙をたたせるという事が歌われている。NungolominとLazarus Lamilamiによって歌われている。
上記はライナーの翻訳。ディジュリドゥの演奏は、トラック13と同一プレーヤーで、このトラックでも高い技術力に支えられたパワフルな演奏を聞くことができる(2曲収録)。ここでは、コールを聞くことができないが、個人的にはデビッド・ブラナシ氏に匹敵するサウンドだと思う。演奏者不明。
15. Murrkundi-Little Black Bird
我々は、東アーネム・ランドの最高のディジュリドゥ奏者と言われている二人のディジュリドゥ奏者MudpoとDarrangoyの演奏を聞くために再度Millingimbiにもどった。MudpoはDua(Dhuwa)半族で、DarrngoyはJiritja(Yirritja)半族のKupapinguクランの男性である。Mudpoが持っていたディジュリドゥは、私が今まで見たなかで最もすばらしい楽器で、約180cmの長さでボトムがフレアになっていた。ところで、ディジュリドゥという名前はアボリジナルの言葉ではなく、ヨーロッパの人がつけた名前である。
上記はライナーの翻訳。超絶イダキ・ソロ!!この他の録音では『Tribal Music
of Australia』(LP or CD-R 1949 : Folkways)と『Australian
Aboriginal Heritage』(2LP 1973 : Australian Society for Education Trough the
Arts)でしか聞くことができないシークレットな演奏方法をしている。貴重かつ最高の演奏!
16. Ring Tail Possum
Darrangoyによるディジュリドゥの演奏。
上記はライナーの翻訳。トラック15と同じイダキを使用したより早く激しい演奏で、若い時のDjaluはこんな感じだったんじゃないかと思わせるような演奏である。舌で作るアタックのサウンドがヘビーでありながら、かなりリラックスした唇で演奏しているのだろうと思わせる高い倍音が舌の動きに合わせて聞こえる。
17. Wiedi-The Wallaby
Mudpoによるディジュリドゥの演奏。
上記はライナーの翻訳。パワフルな一つずつのアタックがトゥーツくらいのアタック感まで出ているすさまじい演奏である。安定したプレッシャーとタイトな舌の動きをこういった低いKeyのイダキで演奏するには高度なテクニックとパワーを必要とされる。見事な演奏と録音状態も非常に良い。脱帽のトラック。
18. Wurrpan-The Emu
昔、東アーネム・ランドではWurrpanという名で呼ばれるEmuと、Jabiru(サギ)が住んでいた。ある日、サギは年老いたエミューの娘を連れて、エイを狩りに出かけた。サギは大きなエイをつかまえ、浜辺へ戻り、座り込んでエミューには何も残さず全ての脂身を食べてしまたった。エミューがその事に気がついた時、怒って、Dilly Bag(採集したブッシュ・タッカーをいれるための手さげ袋)を口にくわえて、急いでサギの所へ向かう。そして、サギがキャンプに帰ってくると、そこには悪口のあらしと怒り狂った年老いたエミュの襲撃がまっていたのだった。サギはそのエミュ-の言い分に腹を立て、ヤリをWoomera(ヤリ投げ機)にのせ、エミュ-に投げ付けた!
ヤリはエミュ-にあたり、彼は飛び上がって「誰がヤリを投げたんだ!」と叫ぶと、サギは「俺だ」と答え、それを聞いたエミュ-は「そこで待ってろ、俺もヤリを投げ付けてやる」と言い、ヤリを投げ返した。
「俺は自分の故郷のNoogarrambaへ帰る」といい残し、エミュ-が立ち去っていくのを見つめながら、サギは「俺には翼があるんだ、だから俺がBow Powi(Jarrayahと呼ばれるBuckinghan Bayにある砂だらけの小さな島)に飛び去るよ」と言った。
エミュ-はYirritjaのKupapinguの男を、サギはDhuwaのDjambapinguの男をあらわしている。
上記はライナーの翻訳。現実に起こった歴史を感じる、おもしろいテーマに沿った、非常に変わった雰囲気のCorroboreeが録音されている。常時3拍子の16分(音符)のクラップスティックにゆったりとしたイダキのドローン、多数の男達のほえるような声と異様な雰囲気が漂う。最後にトゥーツが入ってブレイク。これを2回繰り返すという、妙な緊張感があり、曲の最後には16分(音符)のクラップスティックに合わせてダンサーのほえる声が除々に大きくなって叫び声になって終わる。かなり貴重なコロボリーの録音で、他で聞くことができない内容。当時の様子が伝わってくるかのような臨場感のある現地録音です。
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