CD「Rak Badjalarr」の録音などで知られるAllan Marett博士の20年に渡るWANGGA研究の集大成がついに発表!幅広いエリアから収集されたWANGGA音源全28曲を収録したCD付きの書籍。 ディジュリドゥを伴奏にしたアボリジナルの伝統音楽には、大きくわけて北東アーネム・ランドのMANIKAY-BUNGGUL、中央/南アーネム・ランドのGUNBORRG(Kunbjorrkともつづられる)、そしてダーウィンの南西に位置するDaly Riverエリアを中心としたWANGGAの三つが有名である。ロックバンド「Yothu Yindi」やイダキマスター「Djalu Gurruwiwi」を輩出し、多数のCDリリースもされているBUNGGULや、世界中を席巻したソングマン「Djoli Laiwanga」とディジュリドゥ・マスター「David Blanasi」で有名なGUNBORRGに比べ、WANGGAはその録音物の少なさや研究資料の少なさから明確な演奏エリアや成り立ちなどは曖昧だった。 そこに出たのがこの究極のWANGGA本!1980年代からフィールドワークを開始した著者Allan Marettの20年に渡る研究の集大成と言えるこの書籍には、Wadeye(Port Keats)を中心としたDaly地方、Belyuen、Wugularr(Beswick)で収録されたWANGGAソングが全28曲収録されたCDが付いています。 収録曲は一部CD「Rak Badjalarr」とかぶるが、いずれもすばらしい内容。中でも92年に亡くなっているBelyuenコミュニティのソングマンTommy Barrtjapの歌はいずれも秀逸でトラック3、トラック16-21に7曲収録されている。その内の何曲かは聞き覚えのある人もいるかもしれない。というのもアボリジナル音楽の初期の研究者であるA.P. ElkinやAlice Moyleらによって50-60年代に録音され、その一部がCDとして残っているからだ。そして書籍を読み進めばTommyが、GUNBORRGで言うならばDjoli Laiwangaのような偉大なるソングマンであった事がわかってくる。 一体どのようなエリアでWANGGAがどんな人々によってどんな目的で歌われるのかという事が、この書籍によって今明らかになる。