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MUSIC OF MY PEOPLE -Australian Aboriginal Music presented by Bob Maza featuring the Didgeridoo
ジャケット写真
NO AM-002
Artist/Collecter Bob Maza(Commentator)
Media Type Cassette
Area オーストラリア全域
Recorded Year 不明
Label Twintrack Productions
Total Time  
Price 廃盤
Related Works
SONGS OF BAMYILI -Traditional Aboriginal Music of Australia(featuring Didgeridoo) TRADITIONAL ABORIGINAL MUSIC -Sounds from the Bush SONGS OF THE TIWI Wandjuk Marika Didjeridoo  
David BlanasiやWandjuk Marikaといったディジュリドゥの名手の演奏をふくむ12曲入りのコンピレーション。Bob Mazaによるナレーションでは、子供に聞かせるようにわかりやすくアボリジナルの音楽や文化について説明されています。

オーストラリアの先住民アボリジニーの音楽

■Bob Mazaのナレーションの翻訳
■曲解説

このカセットはアボリジナルのミュージシャンであり役者のBob Mazaのナレーション入りのコンピレーションです。Bob自身が選曲したかどうかは不明だが、その内容はオーストラリア全土の様々な地域から選りすぐった名演奏が収録されていてどの曲もすばらしい珠玉のコンピレーションです。 カセットのジャケット裏には日本語で「オーストラリアの先住民アボリジニーの音楽」というタイトルの解説がついていて、日本でのアボリジナル・アーティストの公演の時に販売されたものかもしれない。

全12曲の内ディジュリドゥの演奏が入った伝統曲が4曲、ディジュリドゥ・ソロが3曲入っている。しかもその元ネタは入手困難な7インチレコード「Songs of Bamyili」、「Wandjuk Marika in Port Moresby」、「Songs of the Tiwi」などが中心になっている。

「Songs of Bamyili」からはディジュリドゥ・マスターDavid Blanasiのソロや、伝説のソングマンDjoli LaiwangaとTom Yorkdjankiの演奏が収録されている。「Wandjuk Marika in Port Moresby」からは、伝記として分厚い本が出版されるほど著名なWandjuk Marikaの超絶イダキ・ソロが収録されています。

Bob Maza自身はクイーンズランド州北部出身のアボリジナルだが、彼のコメントでは「われわれヨォルングは....」という表現が使われ、随所で「Balanda(白人)」、「Wangarr(創世期/太古)」とったヨォルング語が使用している。アボリジナル自身が自己を表現する際に、自分の生まれではないヨォルングをその代表としてコメントしている点に注目したい。

またナレーションの中では、「巨大な芋虫の精霊」や「巨大なカエルTiddalik」」などのドリーム・タイムの物語が簡潔に表現されていて、アボリジナルの創世期ドリーム・タイムの概念を無理なく理解することができる。他にもディジュリドゥの説明、アボリジナル音楽とは、といったアボリジナル文化の一部を非常にわかりやすく説明しています。その内容は全て聞き取って翻訳され全文紹介されているので、ぜひ一度読んでいただきたい。

■オーストラリアの先住民アボリジニーの音楽

注意: ここではカセットのジャケット裏面にプリントされていた日本語での解説文がそのまま掲載されています。 Earth Tubeではアボリジナルという表記で統一していますが、ここでは原文のままアボリジニーとされています。

オーストラリア大陸にいまから4万年以上前から生活している民族がいます。ヨーロッパ人による移住が始まる以前から暮らしていた人々、先住民族、という意味でアボリジニーと呼ばれています。オーストラリア大陸が地理的に、ほかの地域から長い間隔絶されていたため、アボリジニーの文化、そして音楽は現在まで綿々として独自の発展を遂げています。

このカセットにはオーストラリアに4万年以上前から伝わるアボリジニーの音楽が収録されています。当時とほとんど変わらない音楽が、アボリジニーの作家であり歌い手であるボブ・メイザにより演奏されています。4万年の時の流れを越えた、音のタイム・カプセルと言ってもいいでしょう。

アボリジニーが「ドリームタイム(夢の時)」と呼ぶ時代よりもっと以前、地球が平坦で何の地形も存在していなかった「記憶以前の時」から、独特な唄そしてそれに伴う踊りは父母からその子供達へ受け継がれてきました。アボリジニーによると、この「ドリームタイム(夢の時)」の間に、祖先の精霊の手によりオーストラリアの地形が創られ、アボリジニーも創造されたと信じられています。

他の文化と同じように、アボリジニーの文化においても、音楽が大きな位置を占めています。アボリジニー音楽の中心は人間の声です。歌い手と踊り手は膝を叩いてリズムを取ります。「音の棒」と呼ばれる木の棒やブーメランも楽器として使われます。また「ディジャリドゥー」という楽器を使うアボリジニーもいます。「ディジャリドゥー」は1.5メートルほどの木の筒で、外側にはアボリジニー独特の色彩鮮やかな装飾が施されています。白蟻がくりぬいた筒の一端を口にあて、唇を振動させ息を吹き込むことにより、大地の底から響いてくるような、重く、深い音色が聞こえてきます。オーストラリアの映画「マッド・マックス3」でも、ディジャリドゥーが、イントロの重く神秘的な雰囲気を醸し出すのに使われました。

さて、このカセットに収録されている12曲ですが、英語のかなり達者な方でも首を傾げそうな言葉が並んでいます。1曲目のタイトルにあるポサムというのは、コアラのような有袋類の動物です。クークバラは笑い声の大きな鳥、笑いカワセミのことです。ディンゴは野生の犬。どれもオーストラリア独特の動物達です。2曲目に出てくる言葉、コラボリーはアボリジニー達が集まり、歌い踊る「祭り」のことです。

観光客向けだけの「伝統音楽」や「エスニック音楽」が氾濫していますが、アボリジニーの音楽からは生活と密着した文化の力強さが聞こえることでしょう。それでは、アボリジニー音楽、4万年前から伝わる「環境音楽」をお楽しみください。

■Bob Mazaのナレーションの翻訳

わたしたちアボリジナルの音楽は、はるか昔から語りつがれてきたものです。Balanda(白人)はその太古の時代のことをドリーム・タイムと呼び、われわれアボリジナルYolngu(ヨォルング)は、Wangarrと呼ぶ。それはわたしたちの過去、ドリーミングの時のことです。

唄の歌詞や、儀礼の時の踊りは、父から息子へ、母から娘へと何世代にもわたって受け継がれてきたものです。有史以前の、何千年も前から。

Corroboreeとは、唄や踊りのことをあらわす言葉です。われわれアボリジナルは一同に会し、歌い、踊る。それはとても楽しい時間です。このCorroboreeをするという文化は現在でも残っており、その中で子供達にドリーム・タイムの物語を語り聞かせ、先祖の霊について教える。精霊たちが大地、川、山々、岩や木々を創造し、どうやってこの地で生きて行けばいいのかを教えてくれたんだ。彼ら精霊達についての唄の多くは、神聖なもので、通過儀礼を経た男しか聞くことができない。私たちの音楽には、だれが演奏してもいいし、だれが聞いてもいいものもある。そういったオープンな音楽はキャンプ・ファイヤーをたいて、演じられる。あぁ、それは楽しいもんだよ。

ヨォルングと呼ばれる人たちは、オーストラリアのある地域に住むアボリジナルで、自分たち独自のドリーム・タイムの物語を持っている。その物語の内容は地域によってそれぞれ異なってはいるけれど、オーストラリアの全てのアボリジナルが同時期にドリーム・タイムの物語を得たんだ。太古の時代には、この地は真っ平らだったんだ。山や川や木、なにもなく、テーブルみたいに真っ平らだった。そして、ドリーム・タイムの精霊たちが、地中や空から現れ、大地を闊歩した。そして、精霊たちは今わたしたちが目にする全てのものを創造したんだ。たとえばアリス・スプリングス付近のマクドネル山脈は、巨大な芋虫の精霊が通った跡だといわれている。ドリーム・タイムの精霊たちは、われわれアボリジナルの人々すべてを作り出したんだ。

数多の物語がキャンプ・ファイヤーのそばで繰り返し繰り返し語り継がれてきた。「どのようにしてカンガルーの尻尾ができたのか?」とかね。巨大なカエル「Tiddalik」はずっと喉が渇いていた。だから全ての水を飲み干し、その土地は全部砂漠みたいに干上がってしまった。その砂漠は今でもオーストラリア中央部にあるんだ。それは大きなカエルの仕業さ。他にも、どのようにして星や、太陽や、月ができたのかといった物語もあるんだ。

われわれアボリジナルは夜になると狩りをするまでキャンプファイヤーのまわりで唄い、踊る。どっちに行けば鳥や動物たちがいる所にでくわすだろう。動物たちはどう動き、どう唄うんだろう。

わたしたちにとってもっとも大事なのは人の声、つまり音楽なんだ。一族の伝承された物語や、住んでいる土地についての全てを音楽で伝えるんだ。ときにはクラップ・スティック(拍子木)やブーメランを打楽器として使い、たいがいの場合ディジュリドゥを使う。

ディジュリドゥは木の枝から作られる。シロアリが食べて空洞になった木だよ。シロアリが木の中心部分を食べて管のようになる。それを1メートルくらいの長さに切り、中をきれいにして、オーカーと呼ばれる白、黒、黄色、赤の泥でペイントする。ディジュリドゥを演奏するときは、トランペットを吹くみたいに演奏されるんだが、トランペットとはまたちょっと違う。頬に空気をためて、鼻からさっと息を吸うようにして止まることなく吹き続けられる。同時に吸って吐いて、をしているみたいに頬の空気を送りこむんだ。本当に腕のいいディジュリドゥ奏者は、同じ音色を止まることなく10分間も吹き続けることができるんだ。

ディジュリドゥはアボリジナルの楽器だけれど、オーストラリア全土で演奏されるわけじゃない。ディジュリドゥが演奏されるのは、ノーザン・テリトリー州のトップ・エンドと呼ばれる地域と、西オーストラリア州の東キンバリーだけなんだ。

ディジュリドゥの名手の演奏には、ワライカワセミといった鳥の鳴き声を模倣したものがある。

次の曲では野生の犬ディンゴの遠吠えをまねたディジュリドゥの演奏を聞くことができます。

アボリジナル文化は一体どのようにして現代まで伝えられていると思いますか?わたしたちは自分たちの文化を物語にして伝承しているのです。岩に描いた絵によってその物語を伝えます。洞窟の岩場の壁面に描いたりするのです。また、唄や踊りの中に物語が塗り込められています。

われわれアボリジナルの音楽は、住む場所によって様々です。オーストラリア中央部にはディジュリドゥはなく、ブーメランがあります。ブーメランの演奏は座って二つのブーメランを叩き合わせて演奏されます。

ノーザン・テリトリー州ダーウィンの北に位置するBathurst島とMelville島のアボリジナルは、太ももを手で叩いたり、地面を踏みつけたりしてリズムを作る。この地域の歌唱法では、ソングマンはミツバチや蚊の羽音のような声を出して唄い、曲の半分が唄で半分が語りになっている。

Bathurst島とMelville島には全てが唄になっている曲もあり、「Kulama」ソングと呼ばれています。鳥や動物、まさに今起こっている出来事や、遠い遠い昔の事について唄われており、男も女もこの曲を作ります。ソングマンはテンポを取るのにクラップ・スティックを使う。

次の曲はMornington島の子供を寝かしつける時に唄われる子守唄です。

どの地域のアボリジナルの音楽においても、ソングマンは最も重要な位置をしめている。ソングマンそれぞれが自分だけの唄を持ち、他の誰でもなくソングマン自身がその唄を唄う。彼らは、時に自分たちの敵の部族の土地を通って何百kmも旅をし、遥か遠くで行われるCorroboreeにもでかけていく。敵の部族が彼らを襲わないのは、ソングマンが聖なる棒を持っているからだと言われている。ソングマンは秘密の神聖な儀礼の場で唄うこともある。彼らは、愛、戦い、狩り、そしてドリーム・タイムの全てについて唄うのだ。次の曲は死についての唄です。

■曲解説

1. Rock Possum / Tjoli Laiwonkga, Tom Yorkdjanki(didgeridoo)2. Corroboree / Anon3. Camp Song / Kalumburu Community4. Butcher Bird / Tjoli Laiwonkga, Tom Yorkdjanki5. Didgeridoo Solo / Wandjuk Marika6. Didgeridoo Solo Kookaburra / David Blanatji7. Didgeridoo Solo Dingo / David Blanatji8. Traditional Song / Yuendumu Community9. Traditional Song / Bathurst Island Community10. Kulama Song Shark / Aloysius Puantulura11. Lullaby / Mornington Island Dancers12. Djaru(Farewell to the Dead) / Tjoli Laiwongka, Tom Yorkdjanki
※曲名をクリックするとその曲の解説へ飛びます。

1. Rock Possum / Tjoli Laiwonkga, Tom Yorkdjanki(didgeridoo)

使われているMago(ディジュリドゥ)の音質、ピッチ、録音状態から7インチEPとカセットで販売された「Songs of Bamyili」と同じ時に収録された曲と思われるが、他のどのアルバムにも未収録のトラックのようだ。

TjoliはWugularr(旧Beswick)/Barunga(Bamyili)が生んだ名ディジュリドゥ奏者David Blanasiの盟友であるソングマンDjoli Laiwanga。Tom YorkdjankiはおそらくTom Kellyの事だと思われる。唄が入る部分のディジュリドゥの伴奏は、ソングマンの「12・3・(・は休符)」とたたくクラップ・スティックとユニゾンする5拍フレーズを基本に演奏されている。この部分ではクラップ・スティックにあわせて、ひょいひょいと周りを見渡す臆病なポッサムが見えるかのような雰囲気が漂う。そしてブレイク部分では4拍フレーズになって急激にステップを踏むダンサーが見えるようなTjoli Laiwonkga(Djoli Laiwanga)らしい楽曲になっています。ここに収録されているTomのディジュリドゥの演奏は、David Blanasiのような激しいキレはないが、やさしく安定した心地がいい。

2. Corroboree / Anon

Corroboreeとはアボリジナルの唄と踊りを意味する英語。このトラックの演奏者、録音場所ともに不明だが、ディジュリドゥの演奏スタイルやソングマンの唄い方からWadeye(Port Keats)のWanggaではないかと思われる。ディジュリドゥの演奏は、電気的なまでにビリビリとした中音から高音の伸びやかな倍音とハミングがWanggaならでは。クラップスティックの無い、かなりゆったりとしたリズムから、「ブレイクせずにいきなりソングマンのかけ声と共にクラップスティックが入って急にリズムがスピーディーになる」、という事を何度も反復する緩急激しい曲になっている。音質からWadeyeでの69年録音を収録したCD「DIDJERIDOO -The Australian Aboriginal Music」のトラック1を録音した時と同じ時期のものではないかと思われる。唄 / ディジュリドゥともにすばらしい演奏を聞くことができる。

3. Camp Song / Kalumburu Community

Kalumburuコミュニティは西キンバリー地方の最北部に位置する。ここで収録されている曲ではディジュリドゥの伴奏の無い、キンキンとした金属的な音のするクラップ・スティックと複数のソングマンによる唄が収録されている。

4. Butcher Bird / Tjoli Laiwonkga, Tom Yorkdjanki

Songs of Bamyili」の6曲目に収録されている「 Bungalin Bungalin(A Love Song)」と全く同じ内容だが、なぜか「Butcher Bird (モズ)」という別タイトルになっている。

低めのディジュリドゥによる、ゆるくしかものびのびとした演奏をバックに、ソングマンは途切れる事なく一息でかなり長いフレーズを唄いきる非常にメローな曲になっている。曲のメロディーがゆっくりと下降していくというGunborrkに特有な曲構造に、Djoli Laiwangaならではの独特なメロディー感が垣間見える重く暗く、それでいてどこか切なさを感じる名曲。

この曲ではクラップスティックのみにブレイクがあり、ディジュリドゥはブレイクに入っても5拍子の決まったフレーズを変わることなく演奏している。通常のパートを4分でたたいていたクラップスティックは、ブレイク部分では5拍子周期の中で5拍目の裏拍以外をすべて8分でたたいている。また曲の最後ではすさまじいリズム・チェンジが聞かれる。

5. Didgeridoo Solo / Wandjuk Marika

7インチEPのみでリリースされた「WANDJUK MARIKA -In Port Moresby Didjeridu Solo(77年録音)」からの抜粋。7インチで収録分数に限りがあったせいか、原曲は、伝統曲の伴奏をディジュリドゥのみで数曲つないで演奏したソロ演奏になっている。こういったメドレー方式で演奏されたディジュリドゥ・ソロの録音は現在にいたるまでこのWandjuk Marika以外では残っていない。

ソングマン、儀礼の長、政治家、芸術家といったマルチな面で著名な北東アーネム・ランドのアーティストであり、イダキ奏者としても超一流であることがよくわかる。現在では聞くことのできない、ディープでダイナミックな古いスタイルでの演奏がすばらしい。

6. Didgeridoo Solo Kookaburra / David Blanatji

7. Didgeridoo Solo Dingo / David Blanatji

ワライカワセミ、ディンゴ(野生の犬)、ブロルガ(豪州鶴)は、ディジュリドゥ・マスターDavid Blanasi作曲の三大名ソロ・パフォーマンス曲です。そのうちの2曲を前述の「Songs of Bamyili」から収録。77年録音というディジュリドゥ奏者としてちょうど脂の乗切った時期の超絶な怒号のようなソロです。

8. Traditional Song / Yuendumu Community

Yuendumuは中央砂漠のアリス・スプリングスから290km北西に位置するコミュニティ。この地域ではディジュリドゥが演奏されることはなく、ここでの録音は一対のブーメランをカタカタカタと叩き合わせる独特な演奏をバックに複数のソングマンによる唄が収録されています。

9. Traditional Song / Bathurst Island Community

Bathurst島とMelville島は、ダーウィン北部に位置する。この二つの隣接した島に住むアボリジナルの人々の総称、そしてこの二つの島は、総じて「Tiwi」と呼ばれている。Timor海に面したTiwiの音楽はオーストラリア本土の音楽とはかなり異なっている。もちろんディジュリドゥが使われることはなく、ブーメランも使われることもない。ここでは、Bob Mazaが解説しているように蚊やミツバチの羽音を模倣した長くのばした高い震え声で唄われる部分と、語るように唄われている部分にわかれた独特なものになっている。

10. Kulama Song Shark / Aloysius Puantulura

このトラックでは、拍子木を手にしたソングマンAloysius Puantuluraの独唱が録音されていてる。唄い回しや使われるメロディーはインドネシア的といってもいいほどオーストラリア本土のアボリジナルの唄とは異なっている。非常にゆったりとしたリズムの中で、コブシの効いたスピーディーな歌詞が一息でつないで力強く唄われている。

11. Lullaby / Mornington Island Dancers

Morninton島はCarpentaria湾に浮かぶ島で、ディジュリドゥも演奏されるがここでは赤ん坊の子守唄がクラップ・スティックの伴奏なしで複数のソングマンによって唄われている。

12. Djaru(Farewell to the Dead) / Tjoli Laiwongka, Tom Yorkdjanki

7インチEPとカセットで販売された「Songs of Bamyili」の4曲目「Waiyara(The Shadow)」がここでは別のタイトル「Djaru」として紹介されている。ライブ音源「LES ABORIGENES -Chantes & Danses de l'Australie du Nord」でも同じ曲が演奏されていて、タイトルは「Dance of Shadow」となっている。

枯れたブルージーなDjoliの唄声に、ディープでルーズなTomのディジュリドゥの伴奏がマッチした名演奏。唄が切れてしばらくすると、突然ずっと一定にビートを刻んでいたクラップ・スティックがとまり、クラップ・スティックなしで唄とディジュリドゥがユニゾンして激しくも哀愁ただよう「決め」の部分が来る。海外ではディジュリドゥ奏者David Blanasiの名前が先行しがちだが、数多くの名曲を夢見の中でフクロウの精霊から学んだ偉大なソングマンDjoli Laiwangaは、現地西アーネム・ランドではあまりに有名である。この「Waiyara」は、歌詞がわからなくても哀愁や空しさで心がしめつけられるような名曲です。