【ストアーに就職】
フェイと別れ、老人介護施設をあとにして、僕はコミュニティに1軒だけあるストアー(生活雑貨品店)、正式名称「Amundurrngu Store Mt. Liebig」へと足を運んだ。どうやらストアーも人手不足だったらしく、グラニスから「あなたさえよかったら、老人介護施設で働きながらストアーでも働いてみない?」という誘いを受け、ストアーが営業する10時〜12時と14時〜16時の間はストアー勤務をすることになっていた。
とひとり突っ込む間もなく彼と目が合うと、身振り手振りで裏に回って来いと言っているのが見えた。裏に回ると、先ほどの彼が僕を迎え入れてくれた。彼の名前はMick(以下ミック)。僕が初めてストアーでコーラを買った時に対応してくれた店員だ。見た目のいかつさからは想像も出来ないが、笑った時に欠けた前歯がちらりと見える愛嬌のある顔をしている。
キッチンの方から水の流れている音が聞こえたのでそっちに入ってみると、モリーンがモップをゴシゴシと洗っていた。彼女もこのストアーで働いているらしい。 「この前は狩りに連れて行ってくれてありがとう」 と話しかけると、 「いつになったらジャッキー・チェンのポスターをくれるんだ!!」 と少し怒り気味なモリーン。 実は、彼女にお土産としてカンフー映画グッズを持ってくると約束していたのだ。もちろん今回Watiyawanuに来るにあたって、しこたまカンフー映画グッズを持ち込んできていた。そして彼女のためにも数点取り置いてあったのだが、モリーンの住んでいる場所が分らなかったので、渡す機会がなかったのだ。後日グッズを渡した時には、 「やっぱりジャッキー・チェンはかっこいいわねぇ〜!!」 と目を輝かせて、満面の笑みを浮かべるモリーンに対して「カンフーグッズ>俺、なんやなー」と若干の切なさは隠せなかった…。
およそコミュニティ内で生活するために必要な物は、ほとんどストアーで買うことが出来る。ただし値段はかなりお高めで、コーラ(375ml)一本$2.5(およそ250円)、たばこ一箱$10(およそ1000円)、キャベツ半玉$7(およそ700円)とびっくりしてしまう。 ミックに「なんでこんなに値段が高いのか?」と聞いてみると、 1. アリス・スプリングスやアデレードから陸路で運ぶために輸送代がかかるから 2. 度々品物が無くなるから 3. 俺らも喰っていかなあかんから と答えが返ってきた。なるほど納得!それでも高すぎません? 商品の補充を終え、ミックからレジの簡単な操作を教えてもらい終えると、開店の10時を少し過ぎていた。ストアーに2台あるレジの1つを任された僕は「一体、アボリジナルは日常的にどんなものを食べてるのだろう?」と彼らの暮らしぶりに好奇心がうずうずとする。やがてミックが正面の鉄格子とドアを開けると同時に数人のアボリジナルが入店してきた。 さあ開店だ! |トップへ|
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