「ディジェリドゥ」と同じ現象は「イダキ」という言葉にも起っていて、人によっては「Yidaki」と表記する人もいれば「Yirdaki」とする人もいる。こういうスペルを作り出すのは、いつもノン・アボリジナルの人であって、もともと書き言葉を持たないアボリジナルの人たちはこういった事にかかわってこないというのも、こういった言葉の問題を生み出す一つの原因なのかもしれない。 ヨォルングの言語学者や現地に長く住むヨォルング語にたけた人に聞くと、「そり舌のポジションで発音されるD」で発音する「Yidaki」が現地では一般的だという。これにはさまざまな見解があるところだが、北東アーネム・ランドで一般的な言語「Dhuwala」や「Dhuwal」で発音される「イダキ」という言葉はさらっとした発音で「そり舌のD」で発音される。そして、イダキ・マスターDjalu' Gurruwiwiの言語グループGalpuが話す言語「Dhangu」では、より奥ばった感じの発音で発音される。という話を聞いたことがある。北東アーネム・ランドとひとくくりに言っても様々な言語があるため、その差がこういったスペルの問題になっているのかもしれない。 そして、「Yirdaki」という表記は「R」のように舌をそらせて「D」を発音するということを強く強調した表記と言えるかもしれない。(ヨォルング語の発音や表記については林 靖典のコラム「ヨォルング語であいさつをしよう」をご覧下さい。わかりやすい発音方法のアドバイスがのっています。) 余談だが、英語のネイティヴの人たちは「Yidaki」と発音する時に、自然と二つ目の母音である「DA」にアクセントを置く。実際にヨォルングの人たちが発音する時には「YI」にアクセントを置く。ヨォルングの言語では最初の母音にアクセントが置かれるからだ。 |トップへ|
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