現在Wadeyeコミュニティの儀礼の場で演奏されるWANGGAがこのWalakandha(ゴースト) WANGGA。このWANGGA全集シリーズ唯一の2枚組。作曲者ではなく一つのジャンルに絞って集めら、歴史的考察をふまえた全39曲2枚組の壮大な内容。
「Walakandha」はMarri Tjavin語でゴースト(死者の霊)を意味する言葉で、Walakandha WANGGAは1960年代にStan Mullumbukが創始したダンスソングです。 現在、Wadeyeコミュニティの葬儀における三大ダンスソングは、ディジュリドゥの伴奏をともなうWANGGAとLIRRGA、そしてクラップスティックだけで唄われるDjanbaです。 そのWANGGAの中でも現在のWadeyeの儀式で演奏されているのがこのWalakandha WANGGAです。Walakandha WANGGAの収集された音源を年代順にまとめて早創期、過渡期、黄金時代、近代と4つの時間枠で区切って2枚のCDに分けて収録されています。 BelyuenコミュニティとWadeye(Port Keats)コミュニティというWANGGAが演奏される二大コミュニティの内、Wadeyeで演奏されるWANGGAの中心がWalakandha WANGGAであることの重要性を加味して、唯一2枚組となっており、ブックレットの内容も長大で濃厚で、読み応えがあるものとなっていて、WANGGA全集を作るにあたってAllan Marettが最も重要視していることがわかります。 Belyuenコミュニティのメロディー豊かで恋慕と郷愁に満ちた音楽観とはまた違って、Wadeyeコミュニティの中心的なWalakandha WANGGAはなぜか不思議と全体的に宗教的な呪術的な要素を感じさせる。 儀式の場で演奏されるDJANBAとLIRRGAというWANGGAとトリムルティになった他のダンスソングからの影響もあるのかもしれません。 Marri Tjavin語の人々のWANGGAソングが、いつしかWadeyeコミュニティ周辺の他の言語集団の葬儀や割礼といった儀式でも中心的な役割を果たすようになった、という点においてもWalakandha WANGGAの重要さは他に類をみない。一体なぜこのWANGGAソングがこの時代にWadeye周辺を席巻することとなったのか、その歴史的経緯もふまえてじっくり聞き込みたい内容です。 ※1. このディスクは出版元ではCDと表記されていますが実際はCD-Rです。お手元でバックアップを取っておくことをおすすめします。 ※2. このCDは8枚組(7セットで1つは2枚組)の「Wangga Complete CD set」の一部です。単体での販売はしていません。 |
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