6. イルカラ/ヌルンブイ 雨季のイルカラには様々な動物がいた。カラスが電線に感電死しているかと思うと大きなコウモリだし、道端で猛毒のヘビ・デスアダーにも出くわした。でも、問題なのはケーン・トードという大ガマガエルだ。これはオーストラリアで深刻な環境問題になっている。雨季のイルカラのあちこちで、このガマガエルが見られた。昨年はそれほどでもなかった、と聞いた。ケーン・トードは、サトウキビにつくケーン・ビートルという害虫の駆除を目的に、1935年にハワイからオーストラリアのクイーンズランド州に約100匹が導入された。しかし、季節に関係なく1回に2万個以上の卵を産卵するという繁殖力の強さと天敵がほとんどいないという理由から、現在、南はニュー・サウス・ウェールズ州北部まで、西はノーザン・テリトリーのダーウィン近くまで生息地を拡大している。ゴアナをはじめとする在来の捕食動物の多くは、このガマガエルを食べても、その毒で逆に死んでしまうのだ。そのため、オーストラリア在来生物の生態系は変わってきている。未だに、このガマガエルを撲滅させる有効な手立ては見つかっていない。だから、ケーン・トードを見たら殺せ、が合言葉だ。しかしながら、添付の写真は僕が殺したものではない。 ヌルンブイは、イルカラ近くにあるボーキサイトの採掘で有名な町である。1968年にナバルコ社がゴーブ半島でボーキサイト採掘を始め、約5,000人の白人坑夫用の町ヌルンブイができた。ボーキサイトの発見は、土地の所有者であるヨルングの人たちの生活を大きく変えた。ボーキサイト採掘権のリース契約をめぐる争いは、地元ヨルングのバンド、ヨス・インディの唄にも歌われた。採掘にかかわる人たちの入植はヨルングの人たちにアルコールをもたらした。僕の滞在中、ゴーブ空港、スキービーチ、イルカラで警察犬による麻薬捜査もあった。今、この町では更に1,500人の独身坑夫用の住宅が建設されている。今後ヨルングの人たちにどんな影響を与えるのだろか。 |トップへ|
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