■ブッシュの中でハンティングする夫とダーウィンで戦う妻 7月12日。今日は家族とハンティングに行くことになっていたので、朝8時にまた甥っ子に起こされ、朝から脂っこいコーンビーフを食べて腹ごしらえ。ミリンギンビは何回か訪れているけど、あんまりコミュニティの外に行ったことがない。
カカドゥ国立公園で初めて観たときのものより、はるかに大きく、人間と見間違えてしまった。 車で入れない場所からは徒歩になり、各自荷物を少しずつ持って、マングローブと荒野を歩いていく。今回は何故かしっかりした靴を持ってくるのを忘れたので、薄っぺらいビーチサンダルで挑むことに。予想通り、最初のマングローブで鼻緒がちぎれた。結局、30分くらいの道のりを素足で歩く事に、というよりも今日一日を素足で生活することになってしまった……前回の失敗から何も学んでいない証拠だ。
結局マングローブに7時間くらいいたんだろうか.......。素足で動き回り、魚を釣り、火をたき、あらゆるところを無数に虫に刺され、膝上まで泥でぐちょぐちょになると、頭のどこかの回線が切れて、その場に寝転がってしまった。 まるで清流のような日本の自然は大好きなんだけど、厳しくて強いオーストラリアの自然がどうしても苦手だった.......。けど、なんか今日克服できた気がする! ダーウィンに帰ったら妻と奥地に釣りに行こう。そういえば昨夜妻から電話があったとき、「ワイン1本1人で空けそう、ぐへへへへ」って言ってた。あまりにも妻が1人で盛り上がってるので「ふうぅん」としか返事できなかった。妻は妻でダーウィンで戦ってるんやな。 ■パンツで蚊と4時間耐久レース コミュニティに帰ってきてからは、夕方あたりからマンディヤラ(文化人類学者の見解によると、マンディヤラはヨォルング社会の中で4つの非常に重要な儀礼とされている中の1つ)が始まっているはずなので、急いでシャワーを浴びる。場所を確認するために、儀礼をリードしている父に電話すると「もう始まってるぞ、急いで来い!」とめずらしく、急かしてきた。 唯一の短パンは洗ったばかりでびちゃびちゃなので、履くものがない事に気付いたけど、「そんな小さいこと気にしている場合じゃ絶対無い!」と思い、ブリーフの上に、トランクスパンツを履いた。ビーチサンダルは家にころがっているものを少しの間借りることができた。パッと見、寝るときの服装で儀礼の場所へ向かった。 「急いで来い」なんて今まで言われたことがなかったので、撮影セット一式かついで、一目散に走って行った。不思議と近くまで来ているのに、儀礼の音がしない。あれ、場所間違えたかな?と思ったけど、走り続けると、電話で急かしてきた父が「おおお、ノリ早かったな。もうすぐ儀礼が始まるよ、早めに来る事はいいことだよ、昨日は途中から来たから、今日は最初から見ろよ」。ヨォルング式の優しさに少し感動した。 時刻は6時頃、蚊とサンドフライが最も活発な時間帯なので、目の前を蚊とサンドフライがふぁんふぁん飛んでいる。急いで家から飛び出したので、虫除けを忘れ、かつ、お風呂に入ったばかりなので、皮膚が完全無防備。ヨォルングも痒い痒いと言って、体中をかきまくってるくらいなので、僕は尚更だ。あっという間に、首の後ろまでボコボコになった。 儀礼が10時頃まで続くとすると、4時間耐久レース、ここ一番の情熱で乗り切ろうと心に決めて、指に蚊がとまって血を吸っていようが、耐えて撮影に専念した。学校の作業とは関連しないけど、撮影したものが、ヨォルングのためになるんであれば、嬉しいことだ。なにしろ僕の思い出にもなるし。それにしても長い一日だったなぁ。 |トップへ|
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