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林 靖典 ポートレート 林 靖典 | ヨォルング語研究者・イダキ奏者

オーストラリア在住ヨォルング語研究者 林靖典の「アーネム・ランド単身赴任」

10. Ratjuku 「バラマンディ」

■ヨォルング語の飛び交う毎日

7月1日。昨日は夜遅くまで家をあてがって頂いたヨォルングの人達と一緒に学校のプロジェクトを進めていたので、さらに昼からもずっとプロジェクト尽くしだったので、正直頭がパンクしそう。ヨォルング語での会話+名前の書き取りをしているので、耳の穴と神経を最大限に研ぎ澄ますこと数時間、頭がパンクして、手伝ってもらっているのにも関わらず、「あああああ!ちょっと休憩下さい」と言って、中断してしまった。

暑い暑いノーザンテリトリー
暑すぎる.......。ミリンギンビはシエスタ制度が必要。

さらに夕食後も妹が「ノリ!今から隣の家に行って、プロジェクトの続きをするから、来なさい」と行って連れ出された。

正直、嬉しいけど、頭がついて行かない。おそらく太陽を久々に浴び続けたので、日射病的なものもあると思う。

それにしてもひどい頭痛。

最後の集中力を振り絞って、結果的に2時間程、皆に手伝ってもらい、今日一日で大分プロジェクトが進んだ。

シャワーも浴びずに床に着こうと思い、目を閉じるけど、頭の中をヨォルング語が飛び交って、まったく眠れない。確か5年程前に初めてミリンギンビに来た初日も同じ症状になって、苦しんだことを思い出した。

そういえば、最近だんだんとヨォルングの皆が僕に英語で話しかけてくれなくなったなぁ。ババッと話されても、すんなり理解ができなくて、頭で整理しながら、話すので、かなりのトレーニングになっている気がする。そんなことばかり考えてしまって、一向に寝れない。

気分転換にこの前、Goriさんがダーウィンに寄りはったときにもらった、田口ランディの「モザイク」を読み始めたけど、小説の中に出てくる携帯電話の電磁波が今の僕にはヨォルング語の嵐のような気がして、読むのを中断。もっと頑張ろうと前向きに考えて就寝した。

■ヌカーに再チャレンジ?

そういえば、今日の昼下がりにングクル(通称ヌカー)からミリンギンビに割礼の儀式に来ていた兄に会って、色々話していると、5年前に僕達が事故したローパー・ハイウェイはコンクリートが敷かれるとまではいかないけど、大分きれいに整備されているらしい。

兄曰く、僕達だけじゃなくて、大勢のヨォルングもあの道の犠牲になっていたらしい。これを機にもう一度ヌカーへチャレンジしてみようと思った。

結局エルコ島へ向かう船はまったく修理が進まず、最終的に断念。

妹達には言っていないけど、実は修理風景を眺めている時に、知らないヨォルングから

「今からチャーター飛行機でエルコ島に行くよ。席が空いてるから、乗る?」

と誘われていた。

MAFの飛行機
2008年にエルコ島へ行った時のチャーター機。操縦席が丸見えなのである意味怖い。

僕だけ行くわけには行かないし、僕よりも亡くなったヨォルングにもっと親族的に近いヨォルングが行くべきに決まっている。けど、内心やっぱり行きたかったなぁ。

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