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Research 林 Jeremy Loop Roots
RG|ディジュリドゥ奏者
ディジュリドゥの伝統奏法1 ハミング

3. 北東アーネム・ランドでもハミングを使うのか?

「Mandapul(Yidaki)では声は使ってないでしょ?」と聞かれることがよくある。

その質問には表現がむずかしいなぁとおもいながらも「使ってる」とこたえるようにしている。Mandapul、Mago、Kenbi、いずれの楽器でもマウスサウンドがとなえられていることから、断続的にディジュリドゥの中に声が入っている。けれど、スピーディーに演奏されると声を使っているようには聞こえなくなるのだ。

またかれらは自然にそれをやっているので声を出しているという感覚もうすいんじゃないかとおもう。実際、ずいぶん前にDjalu'の息子のWiniwiniに「声つかってる?」と聞いたら、「いや、使ってないよ」と答えつつも楽器を鳴らしながらマウスピースから唇を離してもらうと声は出ていた。

わかりやすい例としては、北東アーネム・ランドにおいてもBrolgaの曲のゆったりしたバージョンなどでは、演奏者によっては長くのばした部分にハミングを聞くことができる。ただ、トゥーツとコールが複雑に入り乱れるMandapulの演奏においてはハミングの混ざり方というのはそれほど重要視されず、楽器としての重要性はより細かいマウスサウンドに対応しうるかとか、トゥーツの距離感などにウェイトがおかれていんじゃないかとおもわれる。

   ■Brolga的なイメージでの演奏

Dharpan Yunupingu Yidaki
「Dith-dhu- -ro Dith-dhu Dhirrl- -」といった間のびしたマウスサウンドで演奏されていることでKenbiで聞かれるようなハミングの音を聞くことができる。

逆にトゥーツとコールの存在しないMagoとKenbiにおいては、よりドローンの音や、ハミングの混ざり方にこだわる傾向が生まれるのは必然なのではないだろうか。そしてドローンのみで演奏されることから、単純なドローンのうねりの中にも細やかなサウンドコントロールをしているんだろう。MagoとKenbiはハミングに特化しながら進化をとげてきた楽器なのだとおもう。

 
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