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Research 林 Jeremy Loop Roots
Gori|ディジュリドゥ奏者
アボリジナル・ミュージックを聞く

4. ソングマンが鍵をにぎるアボリジナル音楽

アボリジナルの音楽はまず第一に声楽にその重きがおかれており、自らクラップスティックを演奏する1人のソングマン、もしくは1人のリード・シンガーに率いられたそれぞれクラップスティックを手にした2〜3人のソングマンによる歌に、1人のディジュリドゥ奏者が伴奏する。ソングマンは1人、もしくは複数でそれぞれがクラップスティックを演奏しながら歌を歌い、ディジュリドゥの伴奏者は常に1人で複数で演奏されることは無い(Groote EylandtとMornington島では2本同時に演奏されることがある)。

現地のアボリジナルのディジュリドゥ奏者と話していると、例外なく同じ言葉をよく耳にする。「ディジュリドゥ奏者は常にソングマンをフォローしなければいけない。ソングマンが激しく歌う時はディジュリドゥも激しく演奏しなければいけないし、ソングマンがゆったりと歌う時はディジュリドゥもゆったりになる。」これは地域が違っても共通した概念である。この事からも、ディジュリドゥ奏者の意識しているポイントがわかるだろう。

また、演奏する曲を決める権利は全てソングマンが持っており、彼等には半族と呼ばれる全アボリジナルを二つにわけるシステムがあり、ソングマンが属する半族の歌、もしくはクラン(同一の言語グループ)の歌などが決まっている(クラン同志で共有している歌や、交易に使われる歌などもある)。それとは逆にディジュリドゥ奏者には両方の半族の歌、もしくは別のクランの歌の伴奏がもとめられることが多々ある。

このように伝統的なアボリジナルの音楽の世界では歌に重きがおかれ、それらの権利はソングマンにあるのである。つまり、アボリジナルの音楽を楽しむためには歌の中に内在するテーマとそのストーリーを知るという事の他にも、ディジュリドゥ奏者は「一体どのような観点でソングマンをフォローしているのか?」という点が一つのポイントになっているのは言うまでもない。つまり、歌のテーマやストーリーを知るために言語的な壁を越えるのは容易では無いので、英語のライナーを日本語に訳したDidjeridu Discographyを参照するのも一つのポイントだが、ここではもっとアボリジナルのディジュリドゥ演奏のツボを楽しむために下記に進みたいと思います。

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