北部中央アーネム・ランド東部に住むDjinangの人々のMorning Star(明けの明星)のソング・サイクル。
このカセットテープは、Maningridaコミュニティにあるアートセンターで現地のアボリジナルの人々のために販売されている。その目的のため外部にむけての販売はしていないが、今後CD化する予定だという。
ジャケットやライナーノーツが無いため演奏者と曲のリストは不明。
C#と低くスローな感じのドローンに対して距離のあるF#のトゥーツ(ホーン)という中央アーネム・ランドらしいディジュリドゥを使っており、北東アーネム・ランドで見らるポンポンと短くリズミックに演奏される事が多いトゥーツとは違って、特にブレイク部分などで1秒近くの長めのトゥーツがクラップスティックにユニゾンする形で頻繁に使われている。
2対のユニゾンしたクラップスティックが打鳴らされる中を、2〜3人以上のソングマンがメロディーにあまり抑揚のないお経のような歌を張り上げるように歌い上げている。それぞれのソングマンは意図的に同じメロディーを歌ったり、高いピッチで歌ったりとハーモニックにしている。
8分でスピーディーに一定のリズムで入るクラップスティックに合わせて、かなりゆったりとした大きな波のようなパルス的なリズムを一定に演奏しているディジュリドゥが印象的である。またディジュリドゥが多少リズミックになるとそれに合わせてクラップスティックが4分になってスピード感をなくす所が興味深い。全体的に非常に淡々としており、どこか宗教的な雰囲気が漂う曲調で、催眠的でもある。
Morning Starは、アーネム・ランドの様々なエリアで歌われるテーマで、Djambidj(Burera語?)、Goyulan(Anbarra語)、Barnumbirr(Yolngu語)など様々な名称で呼ばれている。Morning
Starの儀礼では「Dhambul(Yolngu語)」と呼ばれる2mかそれ以上の長さ、直径3cmかそれ以上の木の棒に、ヒモで鳥のハネをつけたMorning
Star Poleをかかげたダンサー達が踊る。民族学者達のリサーチによれば中央アーネム・ランドにその起源があるとされているようだ(不明)。
なんと、このMorning
Satar Poleを作る工程の映像が大阪は吹田の万博公園内にある国立民族学博物館で見れるので必見です。
現在Maningridaコミュニティには、Ndjebbana、Kunwinjku、Kune、Rembarrnga、Dangbon/Dalabon、Nakkara、Gurrgoni、Djinang、Wurlaki、Ganalbingu、Gupapuyngu、Kunbarlang、Gun-nartpa、Burarra語を話す人々が住んでいる。その中の一つ国立民族学博物館の松山利夫教授がリサーチをしたことでも知られるDjinang族の「Banumbirr(Morning
Star : 明けの明星)」ソング・サイクルを収録したテープです。
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