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Maningrida Music MIDJANG-KUNIBIDJI
Midjang-Kunibidji
NO No Number
Artist/Collecter Kunibidji Musicians
Media Type Casstte
Area 北部中央アーネム・ランド
Released Year 1980年代
Label Maningrida Art
Total Time  
Price 非売品
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Banumbirr    
Unknown tracks

倍音豊かなKunbjorrkの伴奏スタイルで演奏されるディジュリドゥをバックに、なごやかでブルージーな歌声が美しい北部中央アーネム・ランドManingridaのKunibidjiの人々の音楽


このカセットテープは、Maningridaコミュニティにあるアートセンターで現地のアボリジナルの人々のために販売されている。その目的のため外部にむけての販売はしていないが、今後CD化する予定だという。

ディジュリドゥのサウンドは、渦巻くような倍音が豊かな中央アーネム・ランドのKunbjorrk(Gunborg)の伴奏スタイルにかなり近い。このディジュリドゥ奏者はD#というディープな楽器の特質を完全に出し切った、幅広い音域の倍音をバランス良くならしている。また非常に安定した演奏で、倍音にキレがあり、中高音域の倍音が非常に伸びやか。

「Lidaro-」といった西アーネム・ランド全体で一般的なリズムを繰り返しており、スムーズな喉の動きによる高音域の倍音が美しい。そして「マウスサウンドのLi」の時には滑らかな舌の動きによる押し出すような低音と、つぶれたような高音が同時に聞かれる。また喉を開ききった時に出ていると思われるドローンを装飾するサウンドが非常に自然で、リラックスした状態で演奏しているのがよくわかる。

二人のソングマンによって同じメロディーを1オクターブ差で歌っている。張り上げるように高い声で歌うソングマンと、つぶやくように低い声で歌うソングマンの歌声が、キンキンと金属的なクラップスティックにのって自由に響く。そしてフィールド録音らしい鳥の声などが聞こえ、全体的に和やかで、ある種牧歌的な雰囲気さえただよう。この二人のソングマンの歌い回しはまるでブルースのようで、大地に根ざした音楽なのだという事をしみじみと感じさせる。

タイトルの「Midjang-Kunibidji」の意味は不明だが、Kunibidjiは一般的にはGunavidjiと綴られる部族名だと思われる。Gunavidjiの人々は、伝統的にLiverpool River平地にある沿岸部Maningrida周辺部のランドオーナーである。Maningridaという名称は、もともとKunibidji語でManayingkarirraと呼ばれ、「ドリーミングの姿が変わる所」という意味だそうだ。

このテープシリーズは全て音量が小さく、しっかりディジュリドゥのサウンドを聞こうと思うとかなりノイズが大きくなるのが残念だが、それ以上にその素朴であたたかく、美しい内容が際立っている。