長く伸ばしたトゥーツが印象的な北部中央アーネム・ランド独特なディジュリドゥの演奏スタイルで、リズミックに演奏しているRembarrngaの人々の音楽。
カセット購入時にアートセンターのスタッフにはGupapuynguの人々の音楽であると紹介されたのだが、テープを聞いてみるとRembarrngaの人々の音楽であるというスピーチが入っている。
BaratjarrはRembarrngaの人々のBunggul(儀礼)の一つである。ここで聞かれるディジュリドゥのサウンドと演奏スタイルは同じシリーズのカセット「Banumbirr」に近い北部中央アーネム・ランド独特の演奏スタイルだ。しかし、曲目のせいかリズミックに演奏している曲が多い。そしてトゥーツに対してのスムーズさはあまりなく、D#/F#という距離のある感じをそのままに押し出すような吹き方のように感じる。それとは逆にドローン部分の滑らかなスピーディーな演奏が非常に際立っている。
二対のクラップスティックに、二人のソングマンが追い掛けあうように歌っており、完全にユニゾンしておらず、からみあうような不思議な響きを与えている。クラップスティックとディジュリドゥのトゥーツがブレイク部分で完全にユニゾンする「キメのセンス」は、Djinangの人々の「Banumbirr(Morning Star)」ソング・サイクルで聞かれたものと非常に近い。しかし、民族学者が「鐘をゴーン、ゴーンと突くようなドローン・サウンド」と表現する「Banumbirr」のディジュリドゥの伴奏とは違って、このRembarrngaの人々の「Baratjarr」で聞かれるディジュリドゥのサウンドは、脈打つような鼓動が特徴的である。後半にかけてディジュリドゥのサウンドがよりスムーズになっている。
Rembarrnga語を話す人々は、主にRoper River周辺地域、Maningridaとその周辺のアウトステーション(アボリジナル居住区から遠く離れた辺境にアボリジナルの人々が集まって作っている集落、主にその部族にとって重要な土地ホームランドにあることが多い)、Katherineなどに住んでいる。個人的にWugularrコミュニティを訪れた時に会ったランドオーナーもRembarrnga族だった。
Rembarrnga族のその他の音源
・『DIDJERIDOO ーThe Australian Aboriginal Music』(CD 1969
: PlayaSound)
・『Maningrida Music -MURLARRA』(Cassette '80年代 : 不明)
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