【Nobu ga Nobu(ノブとノボォ)】 ヨォルングの人たちと関係を深める時、経験するのが「養子縁組」だ。 その際、彼らから「名前」をもらうのだが、名前をもらうことは決して特別な事ではなく、それによって彼等の社会の中での自分の位置が明確になることを意味する。つまり養子縁組されることで、彼等の社会においてはじめて「人(ヨォルング)」として扱うことができるというわけだ。というわけで、Djaluの家族はもとより、遠隔地に住む人から初めて会う人まで含めて家族関係が決まることになる。と、おおざっぱに書いたのだが、実はこの養子縁組を含めた親族システムは学者を悩ますほど複雑なもの。詳しい研究は専門家の方々にお任せして、ブラブラ日記では「名前」に関して僕たちが実際に経験した不思議な出来事を書いておきたいと思う。 ある日、僕たちはいつものように庭の大きな木の影に座り、子供達と遊んだり、犬と戯れたりしていた。Djalu一家もいつもと変わらず、それぞれに好きなことをしていた。そんな中、ラリーの小さな息子と遊んでいるノン君を眺めていた女性のうちの1人(確かDhopiyaかDhanggal)が突然ノン君にこう話かけてきた。 「あなたの日本の名前はなんていうの?」 「あなたの日本の名前よ。」 「ノボォ、ノボォね(※注:Nobuという表記はヨォルングの発音では限り無くノボォに近い音になる)。じゃあその子(ラリーの息子を指して)の名前は今日から
"ノボォ" よ。」 このいきなりの展開にはメンバー全員がとても驚いた。 「ノボォ〜、ノォ〜ボォ〜、あなたの名前は今日からノボォよ〜。」 「(ノン君とノボォを交互に見て)Nobu ga Nobu?(笑)」 ノボォ〜と呼び終わったあとになぜか笑いが起きるのが不思議だったが、それは置いておいて、過去の長老たちの名前をその孫などが継承するということは本などで読んで知っていたのだが、外国人から名前をもらうことが行われているのを知ったのは始めてだった。あとからGORIくんに聞いてみると、このようなことは稀に起こるらしく、実例もいくつかあるということだった。ただGORIくんにとっても目の前で実際に行われたのを見たのは始めてらしくとても驚いていた。 そしてこの日以来、ラリーの息子はみんなから「ノボォ」と呼ばれるようになったのだった。 結局なぜそういう展開になったのかは誰もわからなかった。ヨォルングの文化は奥深い・・。 |トップへ|
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