【まるで桃源郷?Beswick Fall】 フェスティバル会場までの過酷な道を乗り越えてきた僕たちにはそれだけの価値がある御褒美が待っていた。車を止めた場所から歩いて数分のところから急にまったく異なる雰囲気の場所が現れる。
僕ら二人は声をそろえてそういった。 目の前に現れたのは周囲を切り立った崖に囲まれた大きな湖だった。湖の奥まった場所には豊富な水が力強く流れ落ちる滝まである。熱く乾いた風にブル・ダストが舞っていたここまでの道が嘘のような湿気に満ちた瑞々しい空気。その落差の激しさもあってか圧倒的に水の存在感を感じさせる場所だった。ここが彼らの大切な場所であり、今回のフェスティバル会場でもあるBeswick Fallだった。 湖の一番手前、大きな崖の前に広がる砂浜の上には本格的な野外ステージが組まれていた。こんなに素晴らしいロケーションで開催されるフェスティバルはほかに類をみない。 ロケーションという観点からだけ考えればGarmaフェスティバルをもしのいでいる。フェスティバル以外のときであれば許可がなければBeswick Fallを訪れることはできないので、この場所を訪れられるというだけでもこのフェスティバルに参加する意味があるように思う。
驚いた僕達は彼らに見つけ方を教えてもらい湖の表面をよく見てみる。すると・・いるいる!!最初は見分けにくいのだが一度わかるとあちらこちらにポッカリ浮かんでいるのがはっきり見えた。その数を数えた友達がいうには20匹を超えていたらしい。体長2〜3m程度でシャイな性格のフレッシュ・ウォーター・クロコダイルという種類とはいえ、噛まれればただではすまないだろう。こんな僕らの心配をよそに、はなちゃんは「目が合うぐらいまで近づいてん!かわいかったー」とか言って喜んでいた。恐ろしい.......。 あたりが少し薄暗くなり、開始予定の時刻になってもフェスティバルはなかなか始まらなかった。痺れを切らした数人の参加者がいつ始めるんだと主催者であるトミーに質問した。このときトミーが笑いながら即答した「それは太陽に聞いてくれ」という言葉が実に印象的だった。僕らはすでにこの「彼ら独特の時間感覚」に慣れていたのでまったく違和感は感じていなかったのだが。 あたりまえのように予定時刻を大幅に過ぎ、あたりがどっぷりと暗くなり月が昇りはじめたころ、ついにフェスティバルの開催が宣言された。しっかりと組まれたステージの中央に設置された大きなスクリーンにはこのあたりの土地を管理している長老のインタビューなどが映し出され、このようなロケーションで開催されているフェスティバルだということをしばし忘れさせるほど現代的な演出が続く。そしてこのフェスティバルは時間を追うにつれて盛り上がりを増していった。 |トップへ|
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