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Research 林 Jeremy Loop Roots
ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -スピリチュアル・ツアー編 2-

【凸凹メンバー】

練習をするノリ君

大学ではキッチンだけでなくあらゆる場所が練習場所だった。写真は風が吹き抜ける気持ちのいい廊下で練習するのりくん。

突然のきっかけから決まったWadeye(Port Keats)行き。3日後の朝、僕とのりくんの拠点であるチャールズ・ダーウィン大学の寮のキッチンにメンバーが集合した。

日本人は僕のほかにおなじみのユウジと前回紹介したノン君。そしてスペイン人のマルコスとドイツ人のローランドという5人。のりくんはYolngu語の授業が残っていたため、今回のWadeye行きは泣く泣く断念。大学でお留守番となった。

さっそく出発の準備を始めた僕達だったが、みんな朝なので頭も回らず動きも鈍い。するとマルコスがイライラした調子でこういった。

「お前ら早く準備しろっ!間に合わなくなるじゃないか!」

確かに彼のいうことも一理ある。なんといっても今回は400km近い距離があるだけでなく、Daly Riverから先は未知の領域。しかも地図を見ると延々と続くダートロード上に3箇所ほど川の表示があり川渡りを余儀なくされる可能性が高かった。日が暮れてからの川渡りが非常に危険だということは説明するまでもなく、マルコスが焦るのも無理はないと思った。それを察してかみんな急ピッチで準備をすませ、さっそく出発することにした。まずは予約していたレンタカーを借りるためダーウィン市外へ向かう。

ダーウィンの市外に着くとマルコスが颯爽と車から降り一件の店へと入っていった。彼に続くように僕も車から降りたのだが、その店を見るとどう見てもレンタカー会社ではなく、店の中からは香ばしいコーヒーの香りがフワっと漂ってきた。看板をみると「Roma Bar」の文字。

「さてと、まずはモーニング・コーヒーだろ?」
「は???」
「ここのコーヒーとターキッシュ・サンドウィッチはダーウィンでベストだ!!」

満面の笑みを浮かべ自信たっぷりにそう話すマルコスに、僕は危うく飛び蹴りを食らわすところだった。つまり彼が急いでいたのは早く朝のコーヒーが飲みたかっただけだったのだ。

そこからたっぷり一時間以上にわたる優雅な朝食タイム。確かにここのサンドウィッチとコーヒーは抜群においしく、僕もダーウィンでベストだと思った。ダーウィンを訪れた際にはぜひ試してみてほしい。事実、僕はこれ以降この店の常連になってしまったのだが、しかし今はそんなことしてる場合じゃない!急がないと日が暮れる!

ようやくレンタカー会社に着いたのは昼もすこし過ぎた頃だっただろうか。やっと出発できるとホッと胸をなでおろした僕の前にまた新たな問題が降りかかってきた。彼らが予約していたという車を見て僕は愕然としたのだ!それはなんと見た目だけオフロード仕様のへなちょこ車だったのだ!

なぜ僕が驚愕したのかというと理由がある。以前「Merrupen Artフェスティバル」のためにDaly Riverを訪れたとき、僕は赤茶色に濁った水がゴウゴウと音をたてて流れている川の状況を目撃していたのだ。そこをランドクルーザーが渡っていくのを見たのだが、橋はないので岸から水のなかにザバーと音をたてて進入していく。水が濁っているので道はまったく見えず、車高の高い車であるにもかかわらずタイヤがほぼ隠れるぐらいまで水につかっていた。

いま目の前にある車を見ながらその時の光景を思い浮かべると僕の脳裏に「川に押し流され必死に助けを求める5人」という映像がビビッと浮かんだ。これはまずい!いま止めておかないと大変なことになる!僕はこの車を借りることに必死で反対した。

そして1時間近くに渡る討論の後、本格的な4WDを借りなおすことで合意し、ようやくWadeyeコミュニティを目指し始めたのだった。最初からこの調子で今回はいったいどんな旅になるのやら・・。
川渡り&ノン君

目的地によってはしっかりとした車を選ばないと取り返しのつかないことになる可能性がある。写真はManingridaコミュニティに向かう途中の川を渡っているところ。

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