【リアルブッシュマン】 他のフェティバルも大体そうなのだが、ここMerrepen Art Festivalでもフェティバル期間中だけ特別にコミュニティ内にキャンプを張ることが認められていた。普段であるとキャンプはおろか、コミュニティに入るだけでも許可(Permission)が必要な場合が多く、それぞれの地域を管轄しているカウンシルに必ず確認を取らなければならない。詳しくは下記リンクを参照してください。 とにかく僕らは会場のそばの広場にその日のキャンプを設置することに決め焚き火をおこして夕食の準備を始めることにした。ただ、そのころにはあたりはもう真っ暗。まわりに明かりはまったくといっていいほどなく、薪を探してくるのもそう簡単ではない。 「どないしよー真っ暗やわ。ライトあったっけ?」 僕とのりくんが持ってきたであろうライトを探しているとき、ふと気がつくとユウジがいなくなっていた。 「あれ?ユウジは?」 そのときすこし離れた茂みらしき場所からガサガサと人が歩く音が聞こえた。その後・・・ バキッ!、バリバリ、ボキッ!、ボキッ!、バサササッ、ズルズルズルー。
一度彼が働いていたファームを訪ねたことがあるのだが、屋根しかない倉庫のコンクリートの上にテントを張り、夕方になると大群で襲ってくる蚊と戦いながら外でDVDを見るというわけのわからない生活を3ヵ月ちかくしていたらしい。そのとき大学の寮で個室に扇風機とクーラーという都会的な生活していた僕とのりくんには、とても考えられないほど苛酷な環境だった。 【リアルブッシュバーベキュー】 とにかくユウジのおかげで十分な薪が手に入った僕らは夕食の準備にはいることにした。 意気揚々と車から取り出した夕食のメニューは食パンと缶に入ったスパゲティー。のみ。何回確認してもそれだけ。わかってはいたけどなんかさびしくないか? 僕はこのメニューになぜか昼間の喪失感に似たものを感じて一気に落ち込んだ。 「なあ、このメニューなんかさびしくない?」
僕は火の番をすることになり、のりくんとユウジがスーパーへと向かった。一時間は待っただろうか、えらい遅いなあとソワソワし始めたころ遠くから車のライトが近づいてくるのが見えた。そして広場の方へとおりてくる、と・・・ ブーン、ガタン、ガコンッ、グオーングオーン。スタック寸前。 待ちくたびれていた僕は助けに行く気にもならなかった。 それでも彼らはなんとか自力で焚き火のそばまでやってきた。 そして二人がおりてきて最初に言った言葉は 「まじで怖かったんですよー、ほんま真っ暗なんですよおー」 その日は曇りがちで月明かりもなく本当に真っ暗、ちょっと間違えば川に転落なんてこともありえるかもしれない。 それぐらい月明かりのないアウトバックの暗闇は想像を超えている。 だいたい、往復30分ぐらいの道に一時間近くかかっているのだから想像がつく。 「いや、正直な話、川に落ちてワニに食われてるかと心配したよ。で、スーパー開いてた?」
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