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Research 林 Jeremy Loop Roots
ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 2 -キャサリン回想 後編 1-

【救急車で川渡り??】

西に傾き始めた太陽が、見事に潰れた愛車ナバロにあたり始めたころ、僕たちは事故現場から1番近いRoper Barという町にひとまず搬送されていた。

正確にいうとRoper Barは町ではない。一言でいうなら「オーストラリア版道の駅」といった感じ。アウトバックでは長距離にわたって町がない区間があるため、ところどころに宿と酒場が一緒になった「道の駅」のようなものがあり、ドライバーはここでしばし酒を飲んだり、食事をしたりして疲れを癒す。

必要最低限のものしかないRoper Barに、診察に必要な設備等があろうはずもなく、ここで簡単な診断を受けてから、さらに大きな町であり今回の僕たちの目的地であったNgukurrコミュニティへと搬送されることになっていた。 出してもらった冷たい水を飲み、痛む体をイスにあずけて、応急手当てをしてもらって、はじめてホッと一息つけたような気がした。

満身創痍なのに何故か満面の笑みをたたえる5人
Roper Barにて。記念写真にしては痛々しい・・。
そして、改めてみんなを見回すと、服はボロボロ、顔は埃と泥にまみれ、体中傷だらけ。見た目は満身創痍という感じだけれど、このころには「無事だった」という喜びのほうが強くなり、メンバーの顔にも笑顔がこぼれはじめていた。みんな生きていて本当によかった!

Roper Barでの簡易診断で、症状が重いと判断されたのは僕、ユウジ、長谷くんの3人。この3人は比較的元気だったGoriくんとのりくんより一足先に病院へ搬送されることになった。

しばらく休憩したあと、再び普通のランドクルーザーにしか見えない「救急車」に乗り込み、あとに残される戦友?の2人としばしの別れを惜しみながらRoper Barを後にした。

しっかりとした診察施設をもつ病院があるNgukurrコミュニティまで約20km。今まで走ってきた数百キロのことを考えればすぐそばのように思えた。しかし、車が走り出すとすぐに、この20kmがどれだけつらい道のりであるかということに気がついた。

理由は事故の一端でもあると思われる例の「コルゲーション・ロード」である!

僕たちの体を気遣い、ゆっくり走ってくれるのはいいのだが、道の凸凹に合わせて揺れる揺れる!!

ガタン、ガタンという揺れにあわせて「痛っ!!痛っ!!」という声が輪唱のように繰り返された。

とくに僕と長谷くんは首を痛めていたため、この揺れは我慢できなかった。

車内の僕と長谷くん 痛々しい.....
救急車の中はこんな状態。首を痛めている僕らにとって地獄のような時間だった。

「ちょっとドクター、Ngukurrまでずっとこんな道なん??イタタッ!!」

あまりの揺れに耐えかねた僕がドクターに聞いてみると、さらに恐ろしい答えが返ってきた。

「もちろんよ!しかも大きな川を2本渡るわよ!あなたたち覚悟が必要ね(笑)」

「かっ、川って・・。しかも笑顔で・・。」

世界の車窓から....Roper River編
これが救急車で渡った川。結構でかい!
「笑い事ちゃうやろ!!」と心の中でつっこんでみたものの、こればっかりは逃れようがなかった。

アボリジナル・ランドで事故を起こしたことも予想外だったけど、まさか救急車で川を渡ることになるなんて!人生なにが起こるか本当にわからないものだ・・。

数十分凸凹道を走った後、ついにうわさの川に差し掛かった。

都市部から遥かに離れたアーネム・ランドのまっただ中の川に橋など架かっているはずもなく、川底には大きな石がゴロンゴロンと転がっていた・・。

川底の石にタイヤが振られるたびに、僕と長谷くんの悲痛な叫び声がブッシュに響いたことはいうまでもない・・・。

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