【許可申請は「粘り腰」】 去年のアーネム・ランドの旅への参加者は、 ・イダキ奏者のGoriくん ・Goriくんの友人で今回一緒に来豪していた長谷くん ・チャールズ・ダーウィン大学でYolngu語を勉強していたのりくん ・ダーウィン近郊でイダキ製作を真剣に学んでいたユウジ ・そして僕の計5人。 車は5人乗りのため定員ギリギリ。各自のテントやマット、食料からそれぞれのイダキも含め、荷物はすべて後部の荷台に積み込んでいた。こちらもギリギリいっぱい。カバーがなければこぼれ落ちる勢いだ。 ちょっとポンコツ臭の漂う?車の調子はさておいて、僕たちのテンションは最高だった!と言いたいところなのだが、現実はそうでもなかった。
多少元気だったのは、のりくんとユウジ。しかし他のメンバーのテンションの低さに押されたのか、それほどの盛り上がりは感じられなかった。 イダキに情熱を傾けていた僕たちにとって、アーネム・ランドを車で走り、各地域のコミュニティをまわれるという計画は、盛り上がること間違いなし!のはずだったのだが、車のモワーっとした動きに呼応するように、ピリッとしないスタートだった。 1日目はキャサリンに滞在し、翌日さらに南下して最初の目的地であるNgkurrに向かう。Ngkurrは表記どおりに発音すれば「ングク(ル)ー」に近くなるはずなのだが、なぜか多くの人が「ヌカー」と呼んでいた。 この地域で録音された音源は数少なく、実際ディジュリドゥがどれほど演奏されているのかまったくわからない未知の地域だった。大学のYolngu語の先生たちに聞いてみても、まだ訪れたことがない地域だという。
外部からの侵入者が厳しく制限されているアボリジナル・ランドでは、相手から招待されないかぎりほぼ100%に近く「許可(Permits)」を取ることができない。 僕もいろいろな人から「コミュニティを訪れたければ、現地の人たちと友達になることさ」と言われ続けていた。とはいうものの、ダーウィンにいたとしても行ってみたい地域の人々と出会う可能性はほとんどないといっていい。 つまりのりくんのこの話は、まさにコミュニティを訪れるための「王道」のような展開であり、千載一遇のチャンスだといえた。「こんな機会は滅多にあることじゃない!これはもう思い切って行くべし!」とは言っても、「現地までどうやっていくねん??それはもう車、買うしかないでしょ!!」という無理やりな展開で今回の旅が計画されていたのだった。
しかし、今回Ngukurrへの許可申請を担当したのりくんの「粘り腰」が相手を上回ったようで、最終的に全員の許可が下りたのだった。 そして僕たちの車はなんとか無事にアボリジナル・ランドに入ることができ、Ngkurrへと続くRoper HWYを東へ東へと向かっていった・・。 中編へ続く・・・ |トップへ|
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