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Research 林 Jeremy Loop Roots
ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 2 -キャサリン回想 前編 2-

【見切り発車】

空からのアーネム
アーネム・ランドにはどんなことが待っているのだろうか・・。期待と不安が入り混じる。
時は去年の9月。

時期を合わせて渡豪していたGoriくんと僕を含む5人の日本人メンバーは、ある壮大な計画に向けてチャールズ・ダーウィン大学の寮に集結していた。

メンバーの目的は「アーネム・ランドを自分たちの車でまわろう!」というもの。つまりGoriくんと僕は、今年敢行したランドクルーザーの旅とまったく同じ計画を、去年も実行しようとしていたのだ。

その計画をざっと説明するとつぎの通り。


-計画その1-

まずはダーウィンで車を購入し、のりくんが大学のイベントで知り合ったアボリジナルのディジュリドゥ奏者に会うため、アーネム・ランドの南東に位置するNgkurrコミュニティを訪れる。

-計画その2-

次にGoriくんと彼の友人であり今回一緒にオーストラリアを訪れた長谷くんは、車でYirrkalaに向かいDjalu Gurruwiwi氏のもとに滞在。ディジュリドゥを製作、イダキを学ぶ。

-計画その3-

ダーウィンに戻ってきたGoriくんと長谷くんは、僕、のりくん、ユウジの3人と再び合流し、アーネム・ランド最西端のコミュニティOenpeli(Gunbalanya)からアーネム・ランドに入る。その後、陸路を北部中央アーネム・ランドのManingridaコミュニティに向かい、アート・センターを訪れ、現地のディジュリドゥを購入。できればディジュリドゥ製作者や奏者に会い、教えを請う。

-計画その4-

そして最後はさらに東のコミュニティRaminginingに向かい、同じように現地アート・センターにてディジュリドゥを購入、奏者及びメーカーに出会う。そしてダーウィンに帰還する。


以上がその計画の概要。

今見直してみても、走行距離にして3,000km以上、今回のランドクルーザーの旅に勝るとも劣らない壮大な計画だった。ただ、アーネム・ランドを車でまわるといっても、一度も経験したことがない・・。現実的にどのような対策をすれば良いのかまったくわからない状態なのだ。とりあえず勢いだけで計画は進行していった。

Goriくんと長谷くんがダーウィンに到着して間もなく、計画はついに実行に移される。

すぐに新聞広告を頼りに車を探し始め、ラッキーなことに2〜3日後には個人売買で待望の「日産ナバロ」という4WD車を購入できた。価格はAUD7,000ドル。

この車の名前は日本ではなじみがないが、オーストラリアではポピュラーな車種で、日本でいうところのダットサン。つまり5人乗りで後部がトラックのようなオープンの荷台になっているタイプの車だった。
ナバロ&ノリ

これが「日産ナバロ」外見はこれ以上ないほどイメージにピッタリだった。ただ中身は・・?

しかも車全体を保護するようにカンガルー避けのバーが装着されていて、見た目は僕たちのイメージにもっとも近い車だった。

ただ、この車を選んだGoriくんたちに車に関する専門的な知識はなく、中身がいいのか悪いのかまったく判断がつかなった。結局、見た目のイメージで決めてしまったらしい。

これが吉とでるのか凶とでるのか・・。期待感と不安感が入り混じる複雑な気持ちのまま、翌日の夕方、実車が手元にきた。

さっそく運転してみると・・。「なんじゃこりゃー!!異常に遅いやん!」アクセルをベタ踏みにしてもモワーっとしかスピードが上がらず、まわりの車にビュンビュンと抜かされていく。信号のときなどは最悪で、後ろに小さな渋滞ができる始末。ただこの時は遅いことはあまり気にならず「ゆっくり走ればええやん」ぐらいにしか思っていなかった。

一方で僕がすこし気になったのは、左前の足回りになんとなく違和感を感じたこと。 ただ僕も車に関してたいした知識もなかったため、「ま、これぐらいやったらええかー」程度の軽い気持ちで処理をしてしまった。

とりあえず整備工場に点検には出したものの、時間とお金を優先し、高価な全体点検は行わず、簡単な部分だけ点検してもらって早々とアーネム・ランドに向けて出発することにした。

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