【Garma for KIDS】 Garma期間中は会場の各所でさまざまなイベントが同時進行で行われる。
このお祭りはプログラムに記載されていなかったこともあり、予定に組み入れていなかった。次のイベントまで時間の空いた僕たちは、食堂で昼飯をガッツリ流し込み、パンパンの胃袋を抱えてテントに帰る途中でたまたまこのお祭りに遭遇した。そして「まあ、ここでちょっと休憩でもしていくか?」と、なんともイージーな形でこのお祭りを見始めたのだった。 しかし子供達の踊りの伴奏として始まった唄とイダキの演奏を聞いた瞬間、胃袋に納まったチキンやサラダが逆流しそうになるほど驚いてしまった! 渋いダミ声で朗々と伝統曲を唄い上げる二人のソングマン。 聞くものを圧倒するような洗練されたサウンドと変幻自在のテクニックを惜しげもなく披露するイダキ奏者。 彼らの卓越した演奏は僕たちの目を一気に覚ますようなレベルだった。 特にイダキ奏者の演奏はMilkayのように第一線で活躍する奏者にまったく引けをとらないと言っても過言ではないと思う。彼の演奏を聴いたとき、正直メイン会場で毎日行われるブングルよりも興奮してしまった程だった。 しかも彼は見た目もすごい。ピカッと光るスキンヘッドに真っ黒のサングラス、僕たちが持てばそこそこの大きさがありそうなイダキが小さく見えるようなゴツイ体格。 その前でかわいい子供達がチョロチョロと踊っているのがミス・マッチ過ぎてある意味笑えた。このギャップをなにかに例えるなら、子供の運動会で一緒に走るベン・ジョンソンを見てしまった感じ。 これほどの腕前の奏者なら名前が通っていそうなものなのだが、Yirrkala周辺のプレイヤーに詳しいGORI君も知らない人だった。後にわかった事だが、どうもGapuwiyakの人らしい。北東アーネム・ランドにはまだまだ僕たちの知らない凄腕プレイヤーがゴロゴロと居ることを実感した瞬間だった。 図らずもまたまたコアな世界に引きずりこまれてしまったが、それを抜きにしてもこのお祭りはとてもおもしろかった。
Ganbulapula役の子供は前が見難いのか、あっちへフラフラ・・こっちへフラフラ・・。 たまにゴツンと頭をぶつけたりして、そのたびに会場は温かい笑い声に包まれた。僕たちは「あ〜こんなGarmaもええもんやなあ」とすっかり和んでしまった。 子供達はドラムやギターなどのバックバンドを従えて英語とYolngu語の両方で祖先であるGanbulapulaに関する歌を歌っていたのだが、伝統的な唄や踊りとラップやヒップホップが共存するYolnguの彼らの「いま」を感じることができた。そして過去の研究者たちが残してきた音源のように、もし自分達がいまの彼らの唄を録音するのならば、この子供達が歌うGanbulapulaの曲は必ず入れよう・・そう勝手に考えている。 |トップへ|
|