【ブロルガのソングマン マーク】 マークおじいちゃんはブロンソンと同じGroote Eylandt出身のソングマンだ。 ヒゲに緑のリュックがトレードマークの、こういったら失礼かもしれないが「ちょっとかわいい」おじいちゃんだ。
「マークはどこからきたの?」 「Groote Eylandtっていう遠い島から来たんだ」 僕がGroote Eylandtを知っていると言うと、本当にうれしそうに微笑んで言った、 「じゃあブロルガ(豪州鶴)は知ってるかい?おおきな鳥なんだ」 そう言うと彼はそのブロルガの歌を歌い始めた。ちょっとしゃがれたその声にはブロンソンのような迫力や声量はないけれど、とても深みのあるやさしい声だった。 僕はマークのそんな歌声が好きだった。 彼の歌を聞いていると不思議な感覚を覚える。 周りの人ごみや雑踏がすこしずつ消えていき、マークの歌だけがとてもよく聞こえ始める。 余分な力が抜けていくというか、気持ちがリラックスしているのが自分でわかる。 そして「あーなんだか不思議な気持ちだなあ・・・」と思っているとパッと歌が終わり僕もハッと我に返る。 横を見るとマークがまたうれしそうに微笑んでいた。 「ブロルガが来ているよ。大空を旋回している、わかるかいブラザー?」 僕はブロルガを見たことはなかった。 なのになぜか知っているような、大空を旋回している姿が見えるような、そんな気がした。 ふっと気になって空を見上げると、すっかり日も落ちた空に星が輝いていた。 マークは僕の肩をポンとたたいて言った 僕はその歌声に誘われるように静かにディジュリドゥを吹き始めた。 「みなさん、これはブロルガの歌です。みなさん、聞いてくださいブロルガの歌です・・・」 これがブロルガのソングマン、マークとの初めての出会いだった。 【ブロルガ・ソングの聞ける音源の紹介】 下記CDでブロルガ・ソングを聞くことができます。トラック1はマークが歌っていたブロルガ・ソングのうちの一曲です。また、このCDのジャケットでブロルガ(豪州鶴)の姿を見ることができます。 |トップへ|
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