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Research 林 Jeremy Loop Roots
ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -ミンディルビーチ・マーケット編 3-

【ブロンソンの金の絨毯】

ミンディルビーチの顔?ブロンソンはバスキングのプロだと言っていいと思う。ほぼ毎週、皆勤に近い状態でマーケットに現れ、歌いつづけ、しっかり稼いでいる。彼はどうすれば観光客がお金を落としてくれるかを熟知している。

たとえば観光客が写真をとろうとすると一段と動きと歌声が大きくなり必ずカメラ目線で満面の笑みを浮かべる。そして横で吹いている僕にも「おいっ!カメラだ!笑え!」と要求してくる。こっちはディジュリドゥ吹いてるのにどうやって笑えっちゅーねん!というつっこみをよそに彼はいつもの得意のポーズをとっていた。そして撮り終わった観光客がコインを入れようとすると・・・

「ゴーーールドコイン、プリーーーズ!(かなり大声)」(ちなみにゴールドコインは1ドルか2ドル)

ブロンソン

多少癖はあるが、歌っているブロンソンはいつも真剣 曲のレパートリーも豊富だ

これが結構効くのだ。ブロンソンはかなり迫力のある顔をしているし、その声もドスが聞いていてかなりの迫力がある。シルバーコイン(50セント以下)を入れようとしていた観光客はその声に一瞬ひるみ、苦笑いしながら金色のコインに変えたりする。

僕はこんな光景を何度か目撃した。まあ、半ば強制みたいなものか・・・。

そして投げられたコインは地面にひかれたTシャツや布の上に集められるのだが、ある日ちょっと不思議なことに気が付いた。あれっ?さっき投げられたゴールドコインがなくなってる!

確かにさっき金色のコインが投げられた気がするけど・・・。Tシャツの上はいつのまにかシルバーコインだけになっていたのである。

普段僕はディジュリドゥを吹くことに集中していたのでこのことに長い間気づかなかった。しかし確かに投げられたはずのゴールドコインだけが一瞬で消えるのである。そんなわけでTシャツの上はいつもシルバーコインだけになり、見ため的にいかにも寂しい感じである。この「寂しく見える状態」がブロンソンのスペシャルテクニックだったのだ!では「稼いでいるように見える」ゴールドコインはいったいどこへいったのだろうか?

それからブロンソンの動きを注意して見てみることにした。すると・・・

1. お客さんからゴールドコインが投げられた!
2. チャリン、Tシャツの上に落ちる・・・
3. ブロンソンの手が伸びて・・・
4. すばやくおしりの下へ!!

なんと!彼は金色のコインのみ、おしりの下にすべて隠していたのである。一回のバスキングで平均40〜50ドルぐらいは稼いでいたと思うのでバスキングも終わりに近づくと彼のおしりの下はゴールドコインだらけになっている。その光景はまるで金色に輝く絨毯に座っているように見えた・・・。

そしてバスキングが終了すると、彼はそのコインを全部ポケットに詰め込み、いつものようにニヤリと笑ってその場を立ち去った。僕には一銭たりとも渡そうとせず・・・。

やっぱり彼はバスキングのプロであり、ミンディルビーチの裏の顔である。

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