2. スキービーチ

翌朝早く出口君に別れを告げてゴーブに飛んだ。イルカラの姉さんからは「雷と雨を見に来るのか。」とからかわれていたので、雨季のアーネムランドの気候をかなり覚悟していた。しかし、イルカラは予想外にすごし易く、ダーウィンの方が蒸し暑いくらいだった。

イルカラ入りした当日、姉さんの仕事の手伝いのため車で約20-30分のところにあるスキービーチに行くと、ギカルからジャルが戻っていた。ジャルの奥さんドピアの第一声は「ヤス、哲Jから聞いているかい？日本に行くんだよ。」だった。今年の日本の公演を非常に楽しみにしているそうだ。一年ちょっと前、ジャルは台湾で公演したのだが、そこでの食事が本当においしかったらしい。今回、日本を見るほかに日本食を味わうのも楽しみみたいだ。ところで、こうした公演はオーストラリアでは逆にほとんど見ることができない。これは日本の関係者の努力の賜物だ。

さて、ジャルがスキービーチに戻っていた理由は、そこで葬式と割礼があったからだった。ドピアは「お前も知っている人の葬式だから出席しなさい。」と言ってくれた。この日から6日間に渡って葬式が伝統的な方法とキリスト教式の双方で行われた。葬式が終わった翌日、割礼の儀式があった。その後、何度かスキービーチに行った際にジャルを訪ねた。でも、ジャルはいつも昼寝中で、ドピアがせっせとイダキを制作していた。ジャルは儀式が続いて疲れていたのかも知れない。