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Research 林 Jeremy Loop Roots
大八木 一秀 / イダキ奏者
レッド・センター 専門用語解説

【ロックホール】

水場のことを「ロックホール」という言葉で表現するのはちょっと想像がつかないと思う。かくいう僕も初めてその言葉を聞いたときには、「ロックホールね。岩穴?なにそれ?」と水場のことを指しているとは思いもよらなかった。

砂漠の水とダートロード
乾季の間は乾ききった大地だが、雨が降った直後は至る所に水溜りができる。写真は水が氾濫したダート・ロードを走る車からのワンシーン。

「ロックホール」という言葉は、砂漠地帯特有の表現なのかもしれない。砂漠地帯(Mt.Liebig) 周辺の気候は大まかに雨季と乾季に分かれている。雨季はおよそ12月から1月にかけての1ヶ月ほどの期間だ。残りの期間はほとんど雨が降ることはなく、大地は乾ききっている。そのせいで砂漠地帯には永続的に流れる河川というのはない。

一方、雨季には激しい雨が短時間で集中的に降る。この間には大地に水が溢れ、いくつかの河川が現れてくる。しかし雨が止んで4〜5日も経てば、容赦なく照りつける太陽で気温はグングンと上がり、水は地面にしみ込み再び乾いた大地へと戻ってしまう。

しかし岩場の裂け目や窪んだ場所に溜まった水は、多少の蒸発はするものの大地にしみ込むことがないので水場として残される (といっても永続的に水があるとは言えない)。それゆえに、水場のことを「ロックホール」と呼んでいるのだろう。または「ウォーターホール」とも呼ばれる。

白人入植以前、砂漠地帯で暮らすアボリジナルにとってロックホールは生きていく上でなくてはならないモノだった。彼らは水を求めて移動を繰り返し、狩りをしながら生きてきたのだ。アボリジナルにとってロックホールは、しばしばSacred place(神聖な場所)として位置づけられている。

ロックホール
水が既に干上がったロックホール。水が残っていた証拠に草が生えている。ロックホールの傍らに置かれている石は、水の蒸発を防ぐためのフタとして使われていたそうだ。

水場は虹ヘビ(水を象徴する神話上の生き物)と深く関連づけられ、成人男性にしか語り次がれていかない秘匿性の高い物語がある。なので、彼らの許可なしにロックホールを訪れることは許されていない。

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