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Research 林 Jeremy Loop Roots
林 靖典 ポートレート 林 靖典 | ヨォルング語研究者・イダキ奏者

オーストラリア在住ヨォルング語研究者 林靖典の「アーネム・ランド単身赴任」

3. Walu Gorrmur’「暑いっ!」

■家の中の食物連鎖

4月12日。夜中に居候先の生後10ヶ月の甥っ子の夜鳴きと、体の湿疹の痒さで日が昇るまで眠れなかった.......。気がつけば11時半を過ぎていた。しまった!確実に寝過ごした。ラープマの旅に絶対に乗り遅れたはず。

巨大ヤモリ
えっ?これってヤモリっていうくらい、大きい!

火曜日に到着してから毎日トップギアで動き回っていたので、今日は休息日にしよう。昼過ぎから家の大掃除と洗濯。

頻繁にかなり大き目のゴキブリと今まで見たこともない大きさのヤモリが出るので、子供の食べかすとかゴミを全てきれいに掃き取り、モップがけをする。

姉に「なんであんなにヤモリ大きいの?」って聞いたら、「ゴキブリ食べてるからよ」と.......。家の中で恐ろしい食物連鎖が起こっている。

掃除も一段落し、義兄とウメラ作りを始める。斧とプレイナー(表面を平らにするカンナの機械版)をつかって、まずは丸木を板状にする。かなりの重労働で大量に汗が噴き出す。その時、昨日ラープマ旅行を期待させたポイズンカズンが家の横を車で通ったので、どうやら今日はラープマに行かなかったらしい。

最近痛感するのは特定のヨルングと一緒にタイミング良く行動するためには、そのヨルングの家に居候するしか術はないだろうという事。去年はツーリスト向けの宿に泊まっていた時期もあり、プライベートもあって、気楽ではあったけど、何か物寂しかった。初めて訪れた場所でヨルングの家に居候をお願いするのは失礼だと思うので、時間をかけて関係を築き、同じ屋根の下で生活するのが石になる第一歩かもしれない。

■腹の立つ昆虫

そうこうしている内に雲行きが怪しくなり、どしゃ降りの雨と雷が始まった。

機械作業を一時中断。そろそろサンドフライが出始めてきたので、ブッシュコイルとヨルングから呼ばれている蚊取り線香のようなものに着火。

このブッシュコイルの正体は蟻塚で、ダンボール等と一緒に燃やすと、もくもくと煙を上げてサンドフライを追いやってくれる。

サンドフライにさされた足
尿をふんだんに入れられた足。

おかげで今日はあまりサンドフライに刺されなかったというか、尿を入れられなかった(サンドフライが皮膚の上にとまってチクッとするのは、尿を体の中に入れてきているかららしい。本当に腹が立つ昆虫だ。何のために人間の体に尿を入れるんやろうか。)

■義兄のウメラ

丸木を半分に割り、板状に加工した後からは義兄の仕事で炭でウメラの輪郭を描き、ナイフで形作っていく。義兄はめちゃくちゃ手先が器用ですごく丁寧な仕事をする。去年一緒にガルウィンコ島に行った時に彼の槍を数本持参していて、その槍をアートセンターの人が見た時に惚れ込んでいた。「うん百ドルで売れるよ」みたいなことを言っていたが、義兄は売り物ではないんだよと、きっぱりかっこよく断っていた。

確かに後処理が丁寧で、今日も大まかな形作りをした後、厚いガラスのかけらで表面を丁寧に仕上げていた。ペイントまで含めると1週間位かかるみたいなので、楽しみに待っておこう。夕食は妹の娘が海岸で大量に採ってきたマイパル(一般的な貝で見た目も味もアサリそっくり)を皆でがつがつ食べた。明日はミリンギンビ最終日の予定なので、朝から晩まで重装備で動き回ろう。火曜日からは対岸の本島へ船で渡りラミンギニンに行く予定です。

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