これまでディジュリドゥについていろんな文章を書いてきたけれど、演奏方法について書くのはさけてきた。演奏感は個人的で抽象的なものだから「こうすればこうなる」というものでもないからだ。また、時間の経過とともにその時「こうだ」と思っていたことは、のちのち新しい演奏感によって書きかえられて刷新されるということも多々おこる。

しかし、ここ数年で自分のディジュリドゥの演奏の中に、度重なる演奏感のアップデートをへてこれ以上研磨されにくい、もしくは研磨される余地は残されているもののそこはとても繊細な分野であっておおまかに「こうだ」と言ってもいい、という部分ができてきた。

フリースタイルと伝統奏法の両方をやってきて、自分としては伝統奏法はリズム的にアバンギャルドで即興性が高く、サウンド的に奥深く、とてつもなくおもしろいなぁと想うのだが、やってみたいと思う人は少ないように感じる。どうもとっつきにくいらしい。

そのとっつきにくさを少しでも軽くするとっかかりがあれば、伝統奏法の楽しさをノン・アボリジナルのディジュリドゥ奏者たちの間で共有できるかもしれないとねがって、実地的な状況分析もふまえながら個人的な感覚を言葉にしたいと思う。