【フェスティバル会場への道】 僕らは次の日から早速「Walking with Spirits」フェスティバルの会場となるWugularrコミュニティへ出発することにした。その前に念のためココズの管理人であるトニーにコミュニティまでの道路状況を確認してみる。実はキャサリンに来る前に立ち寄ったダグラス・ホット・スプリングスという温泉へ向かう道の途中に突然小さな川が出現したのだ。日本の感覚で考えると「川があったら橋がある」というのが当然だが、ここはオーストラリア、なにもなかった。 今回も僕らがレンタルしているのは普通のセダンだったため、小さい川とはいえヒヤヒヤしながら渡ったのだった。車に傷でもつけようものなら膨大な金額が請求されることは間違いない。Wugularrコミュニティまでの道の途中に未舗装路、ましてや川渡りなどあろうものなら再び冷や汗をかくことは間違いなかった。 「トニー、Wugularrrまでの道の途中に川渡りなんてないやんね?」 ほっ、よかった。
新しい物事に挑戦する時はいつでも心地のよい興奮と多少過大気味の期待、そしてほんの少しの不安がつきまとう。スピーカーから流れるのはWugularrrコミュニティ出身の伝説のディジュリドゥ奏者David Blanasi氏のアルバム「Didjeridu Master」 。彼は2004年を境に忽然とコミュニティから姿を消してしまったため、残念ながら今回彼に出会うことはできないと思う。だけれど、彼のディジュリドゥの音を聞いていると、低木が続く乾いたブッシュの間からヒョコッと彼が現れそうな気がした・・。 そんなことを考えながら、ふと気が付くとそれまで平坦だった道に大きな起伏が現れた。 その起伏を越えたところがフェスティバル会場であるWugularrrコミュニティだ。 というか、「フェスティバル会場であるはず」のWugularrrコミュニティだった。 【David Blanasiの音源の紹介】 下記CDはWhite CockatooことDavid BlanasiのCDでディジュリドゥ奏者名義のCDとしては史上初のアルバムです。
なーるほど!会場は別に設営されているわけだ。これですべての疑問は解けた。 ところがすっきりとした気持ちで目線を看板の先へ向けてみると、そこから先は乾いた風が砂埃を巻き上げる見事なダートロードだったのである。 「・・・。のりくん、これってすごーーーくやばい気配がしない・・?」 しかし脳内アドレナリンというものは人間の正常な思考を狂わせるのだろうか。 さっきまでの二人の弱気な発言とは裏腹に、気づけば僕らのピカピカレンタカーはすでにそのダートロードに進入しはじめていたのであった。 |トップへ|
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