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Research 林 Jeremy Loop Roots
ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -スピリチュアル・ツアー編 6-

【クロコダイル登場】

お昼ご飯を食べるため、そして今晩の夕食になるであろう魚を釣るために海と川が混じりあう場所に移動することにした。その川までの移動中、些細だが僕にとってとても印象深い出来事があった。それは僕たちがBelyuenを訪れたという話をしていたときだった。その話を静かに聞いていたリチャードが急にこういったのだ。

「Belyuenの歌が聞きたい・・」

それを聞いて僕はマルコスに彼が持ってきていたSongs From Northern Territory1をかけるように頼んだ。そこにはBelyuenの人たちの歌が何曲か収録されていたからだ。


【Belyuenコミュニティの名曲が収録されている音源】

SONGS FROM THE NORTHERN TERRITORY 1 SONGS FROM THE NORTHERN TERRITORY 1/Western Arnhem Land
CD Alice M. Moyle録音 / トラック10,11,13(Darwin, 1962)
伝統的なアボリジナル音源のバイブル的な5枚組LPをCD化。地域ごとにスタイルをわかりやすく解説、そして何よりも60年代初頭の生き生きとしたサウンドが心を打つ名盤中の名盤!


Belyuenの歌をじっくりと静かに聞き入るリチャード。彼は結局最後まで何も語ろうとはしなかった。けれどもそれはBelyuenとWadeyeの関係の深さを感じさせる印象的な出来事だった。

川に行く前にマングローブ・ブッシュに餌となる貝を採りにいく。そこまでの道のりは柔らかい砂が続く、まさにオフロード。無理して借りた高級4WDの実力をあますところなく発揮できるポイントだ。車のおしりが左右に振られるのを体で感じながら目的地のマングローブ・ブッシュまで豪快に走り抜けた。

ボムシェルを集めるノン君

マングローブの森のぬかるみに住むボム・シェルという巻貝を集める。ほかにも赤い殻をもつ豆のような貝など変わった生き物が生息していた。

餌となるのは、そのまま火にほりこむと爆発することからその名の付いたボム・シェルという巻貝の一種。集めるのは簡単だったのだが貝の身をとりだすのに一苦労。その貝殻の硬さといったら尋常ではなく金槌で思いっきり叩いても割れないのだ。全員で交代しながら必死で叩きまくり、やっと釣りができるぐらいの餌を確保することができた。

釣りに使うのは一般的な釣竿ではなくアボリジナルの人たちがよく使っている簡単な釣具。

円型のリールに釣り糸が巻きつけられたシンプルなものだが、これが意外に使いやすい。その道具を手に川岸から魚を狙い始めたのだがここはアボリジナル・ランド、状況はそう簡単なものではなかった。

川岸に降り立った僕たちを待っていたのは気持ちがいいほどよく滑る泥に覆われた不安定な足場だった。そこから1メートルほど下には濁った水が塊となって流れる巨大な川が横たわる。足を滑らせてこの川に転落すれば無事に上がってこれる保障はない。しかも更に僕たちの不安を煽るできごとが起こった。

「あーーー!!あそこ見てっ!クロコダイルやっ!でかい!」」

ノン君がそう叫びながら指差す先を見ると濁った川の中心あたりにスーーーと音もなく大きな影が浮かび上がっていた。本当にでかい!顔の部分だけで1m以上はありそうだ!僕たちが目撃したのはWalking with Spiritsフェスティバルのときに紹介したたシャイな性格のフレッシュウォーター・クロコダイルではなく、ソルトウォーター・クロコダイルという種類。海、川の両方に生息し、その体長は6〜7mにも達するといわれ、時には人間も襲うこともあるという獰猛な種類だ。そのクロコダイルは僕たちを挑発するかのように数秒間姿を見せたあと、また音もなくスーーーと川の流れに消えていった・・。

「みんな川には転落するなよ!僕は君たちに事故にあってほしくないんだ!」

それを見ていたリチャードが今までになく強い調子でメンバーに注意を促す。木の幹にしがみつく僕の手にそれまで以上に力が入ったのは言うまでもない。

結局大きなトラブルもなく(あってもらっては困るのだが)夕暮れが近づき、釣りも無事終了した。今日の僕らの収穫はキャット・フィッシュ(ナマズ)が3匹。早速この収穫を料理するため今晩のキャンプ地に移動することになった。
円型リールをフィッシングをするリチャードとノン君

奥でノン君が手に持っているのが通称ブッシュ・リール。この足場の滑ることといったらなかった。クロコダイルが現れたのはこのすぐあとだった。

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