【そしてフェスティバル初日】 次の日の朝、誰もいない空き地にポツンポツンとテントが並ぶ。 それはその後に合流したコリとバイク仲間のマリちゃんとテル、そして僕らのテントだった。 線路のそばのスペースで早起きしたメンバーが朝のコーヒーを入れるための焚き火を起こしている。青く澄み切った空と爽やかに吹き抜ける風、揺れる木々の音と鳥の声。 申し分のない朝の風景。 しかし、である。これが大規模であるはずのフェスティバル初日の風景か? 朝ご飯と一通りの会話を終えた僕達は、あいかわらず誰も現れない空き地でぼんやりとしていた。しばらくして痺れを切らしたカンチくんたちがあたりを確認しにいくがすぐにもどってきて首を横に振った。だろうね・・。みんなそれぞれしたいことをし始める。 バイクの整備をしたり、ディジュリドゥを吹いたり、話をしたり。 そのまま太陽が真上まで来たとき、誰が言い出したか忘れたけれど僕らはパインクリークの町を散策することにした。照り付ける太陽の光のなか相変わらず人の気配のない寂しい町をぶらぶらと歩く。町に唯一あるGalleryのような店は閉まっていた。 ワイルドライフパークのような看板を頼りにやっとたどり着いた店はつぶれていた。道なき道を歩いてみようと踏み込んだブッシュを抜けたらテントのある空き地に出た。そしてまたぼんやりとした時間が流れていく・・。 ふと気が付けば太陽は西に傾むき、空き地には朝と同じ光景が広がっていた。その日の夜、どこからともなく起こったブッシュファイヤーが真っ暗なブッシュをオレンジ色に縁取って燃えていた。その光は僕らのせつなさを象徴していたように思う。 【そして2日目】 そしてそのまま2日目。昼までは昨日とまたったく状況が変わらなかった。 しかし昼過ぎには人が少しずつ増えていき、いくつかイベントも開催されていた。
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