EarthTube  
Research 林 Jeremy Loop Roots
ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 2 -大陸縦断 後編 1-

【アウト・バック!】

トラムとメルボルンの光景
写真はメルボルンの名物トラム(路面電車)。こいつのおかげで「右折」の車は「左車線」に入る?という複雑な交通ルールがあり、車の運転はめちゃくちゃむずかしい。。
グアン家の予想をこえた光景に興奮しすぎ、ここメルボルンで危うく旅を終えてしまう所だった僕たち。しかしまだ旅ははじまったばかりだ。この後にはオーストラリア大陸を縦断し、真の目的地であるアーネム・ランドを目指すという大仕事が待っていた。

「Walking with Spirits」フェスティバルへ参加するために先を急いでいた僕らだったが、グアン家で丸1日を使ってしまった事と、体調を崩していたノンくんの回復を待つという事でメルボルンに2日間滞在。そして7月25日の朝を迎えていた。

この時点でアボリジナル・コミュニティでの最初のイベントとなるWuglarr(Beswick)コミュニティでのWalking With Spiritsフェスティバルまで残り6日。メルボルンからキャサリンまでは約3,600kmあるため、単純に考えても1日600km以上走らなければ間に合わない。とにかく急がなければ!僕たちはメルボルンをまだ薄暗いうちに出発した。

車のワイパーを最速にしても視界がほとんどゼロという突然の大雨や、前の車のバックライトさえ消しさるような濃い霧などに悩まされながらも、なんとかその日中に次の大都市であるアデレードに到着。しかしゆっくりと休息する暇もないまま、翌日はひたすら先を急ぎ走り続けた。

アデレードから約350kmほど北に位置するポート・オーガスタ(Port Augusta)という港町を過ぎれば、ダーウィンまで一直線に続いているメインロード、スチュアート・ハイウェイ(Stuart HWY)へと入る。そこから先は通称アウト・バックと呼ばれる荒野。遥か遠い地平線へと消えて行く道路と、360度ほとんどなにもない風景は、シドニー、メルボルン、アデレードなどの都市では感じることのできない、まさに別世界だ。

アウト・バックを走っていると、僕たちの心についた余分なものがどんどんとそぎ落とされていき、身体が軽くなっていくような感じがする。五感は研ぎ澄まされていき、さまざまなことをクリアーに感じられるようになる。そして、空と大地が圧倒的な力をもって僕たちに迫ってくる・・。

「空が近い・・」

そう感じたとき、ゾワゾワと体の奥底から感動がわきあがってきた!

これだ!これが僕たちが知っているオーストラリアだ!なんとなく違和感を感じていたシドニー、メルボルン、アデレードなどの大都市を抜け、やっと僕たちのアーネム・ランドへの旅がスタートしたという実感がわいてくる!
大平原が広がるアウトバック

視界に映るのはどこまでも続く空と大地と地平線・・

「うおおおおーーー!!オーストラリアああああ!!」

「待ってろーーー!アーネム・ランドーーーー!!」

僕だけでなく、メンバーのみんなも同じ感覚だったのだろう、誰ともなく窓の外に広がる世界にむかって叫んでいた。そのとき僕たちの意識は数千キロという距離を超え、地平線の彼方へと飛んでいた・・。

(C)2004 Earth Tube All Right Reserved.