あまりの光景にちょっとおかしくなったGoriくん。アボリジナルの人たちをリスペクトするため、写真にとってはいけないものが多数あり、全体を紹介できないのが残念だ。 |
とにかく、ここグアンさんの家はイダキ・ヘッズにとっては何時間いてもあきることのない場所だった。
なにげなーく手にもったものが「アッ! それはGumatj(グマチ)クランのセレモニーで使用されたものだよ」とか、「ア〜それはElco島のイダキ奏者の個人所有で・・」とか、「それはデビット・ブ*ナ*が実際にセレモニーで使ったもので・・」とか・・・、とか、とか、とか、とか!!。
もう、どれもこれも由緒正しきものばかり。写真をとってもいいかどうか確認すると・・。 |
「あっちの背の高いやつとその隣、あとこのへんのやつは神聖すぎるから写らないように気をつけて」と、アブナイものがありすぎて気軽に写真をとることすらできなかった。
美術館ならともかく、ここは個人の自宅なのだ。このあまりの出来事にすこしおかしくなっていたGoriくんが、突然とんでもないことを言い出した・・
「俺ら、もうアーネムランド行く必要ないんちゃうん!!」
「でえっーーー??」
なんと、スタートして2日でいきなり旅の終了の宣言!!
Goriくん、気を確かに!旅はまだはじまったばかりやねんから!!と彼の肩をユサユサと揺する僕。そのやりとりはまるで売れない芸人の寒ーいコントのようだった。
その頃ノンくんはというと、かなり気に入っていたGumatjクランがセレモニーで使用したというイダキをひたすら吹きまくり、音を録音しては聞き返し、
「わかったでー!これや!これがGumatjのサウンドなんや!グマチでデグチやーー!」
と、なにやら新しい言語まで生み出す始末(この言語は旅の期間中、頻繁に使われることになる)。
一方、アボリジナル文化やイダキについてほとんど知識のなかった真弓にとって、この場所がどれほどすごいものなのかというのは理解できず、ウロウロ動き回る僕たちを「あんたら、バカだねー」という冷めた目で見ていた。この温度差はいったいなんなんだろうか・・。
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長時間待たされてグッタリする真弓。彼女もアボリジナル文化に興味がないわけではないが、この場所は度を越えていたらしい・・。
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結局、僕たちは夕方までグアンさんの家に居座っていた。それを文句のひとつも言わず温かく対応してくれたグアンさんは人間がでかい!そして偉い!というか、やっぱりネジが一本外れてる!家で見せてもらったビデオも当然アボリジナル関係。以前Goriくんがグアンさんは普段どんな音楽を聴くの?と質問したら「僕が聞く音楽はアボリジナル・ミュージック。オ・ン・リー!」と言われたらしい。うーーむ、筋金入りのとんでもない人だ。
テープ片手に「うひょー、いいねえ、いいねえ」とニヤニヤする人達。世間体などおかまいなしです。 |
そして帰りの道すがら、貴重なイダキの音を録音したテープを聴きながら終始ニヤニヤしていたこの2人も、やっぱりネジが一本外れているようだ・・。
そしてアーネム・ランドに勝るとも劣らない大都会メルボルンでの聖地巡礼は終了した。さあ!これで本当の目的地、アーネム・ランドへ向かって出発だー!
後編へ続く・・ |