ディジュリドゥを演奏するという事をきっかけに、アボリジナル文化に対する強い興味を持つようになった人も多いのではないだろうか?だが、一般的に日本人が持つアボリジナル観は、非常にうすっぺらなウワサや、不確かな情報から得た単なるイメージであるというのも一つの事実だろう。この本の中にはそんな思い込みをズバっと切り捨てるリアリティがつまっている!
キャプテン・クックから現在までの歴史を通じて、アーネム・ランドや中央砂漠などに代表される伝統志向型の村・アデレードやシドニーなどの大都会・その周辺の地方都市、それぞれのアボリジナルの人々が受けたそれぞれの体験・経緯・闘争、そして模索を描く事で、今現実に起こっているアボリジナルの人々「ブラックフェラ」のリアリティにせまる。
長年に渡ってアボリジナル研究に身を投じてきた作者が、必要最低限かつ必要不可欠なアボリジナルの歴史や文化人類学的情報をちりばめながら、今、淡々と現在進行形のアボリジナル・ライフを描く。その文間には一人の人間では決して変える事のできない現実への憤り、アボリジナルの人々への暖かな視線、アボリジナルの新たな模索への希望がこめられているように思えてならない。
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