Milkayはヨォルングのイダキ奏者の中でも異能の人で、既存の伝統的な演奏方法をベースに彼独特のサウンドと演奏スタイルを築き上げた。現在ではヨォルングのキッズの多くがMilkayの演奏スタイルにあこがれ、摸倣している。まさに次世代のイダキ・マスターといっても過言ではないMilkayが、同じリズムをゆっくりしたテンポから早いテンポまで演奏し、流暢な英語で爽快なほどわかりやすく演奏技術を解説している。これ以上にわかりやすい教則CDはありえないだろう。 このCDに収録されているイダキのリズムは、ヨォルングのベーシックの一部で、ここで紹介されている舌の動きを複雑に組み合わせる事で様々な演奏を可能にしている。初心者はもちろん、実際に現地を訪れ、ヨォルングから直接イダキを学んだ人にとっても目からウロコが落ちるイダキ入門の決定盤です! ただイダキの教則に特化した内容であるため、ヨォルングの演奏に興味のあるディジュリドゥ奏者にとってはこの上ない至宝のCDである事に変わりないが、単に音を楽しみたいリスナーにとっては物足りないかもしれない。しかし、このCDの最後に収録されているMilkayのイダキ・ソロは、「イダキを教える」という事から解放され、ユニークで複雑なリズムを目を見はるほどスピーディーに即興演奏しており、全てのリスナーをうならせることは間違いない。 タイトルのHard Tongueはヨォルングの言葉「Nganarr-dal」を英語訳したもので、力強い舌の動きを意味している。以前Milkayの家を訪れた時に、「西部アーネム・ランドのディジュリドゥの演奏はSoft Tongueだが、ヨォルングのイダキの演奏はHard Tongueなんだ。」と言っていた事を思い出した。 暗闇に惨然と差し込む太陽の光りのように明解な、若きイダキ・マスター「Milkay Mununggurr」によるイダキ教則CDの決定盤!マスト! 今回MilkayのCDリリースに先立ってライナー・ノーツの全翻訳を行いましたが、その情報をここで紹介することはできません。「ヨォルングの知識や文化は、ヨォルングが管理する」というBuku-Larrnggay Mulka Centerの発想から、Earth Tube用に行った翻訳を全て Buku-Larrnggay Mulka Centerに寄贈しました。またヨォルング・マタに関しては、フォントをダウンロードしなくてもいいように英語表記されています。