GUNBORGスタイルで演奏されたMimiスピリットにまつわるストーリー。非売品でノーザン・テリトリー図書館で試聴することができる。
カセットのみでリリースされ、元々販売目的で作製されたものではなく、どちらかと言うとアウトステーションに住むアボリジナルが残しておきたいという依頼にもとずいて作製されたものらしく、一般販売はしていないようだ。
このシリーズではA面が伝統音楽、B面がオリジナルのクリスチャン・ソングになっている。同じシリーズでは、他に『Bolkjam Bungul』(Cassette 1993 : Kakadu Studio)がある。Darwinのノーザン・テリトリー図書館で試聴することができます。
特にMimiスピリット(ジャケットでダンサーの写真の上に見られるペインティングを参照)にまつわる物語を中心に歌われており、神話のストーリーに心動かされる。
下記はライナーの翻訳のみが掲載されており、レビューは追加されていません。
■ライナーの翻訳
SIDE A : TRADITIONAL
1. Lizard Song|2. Possum Song|3.
Mother and Son|4. Mimi Story|5. Bush Potato|6.
Big Brother, Little Brother|7. Big Brother Playing Games|8.
Black Wallaby|9. Big Brother Looking After Little Brother|10.
Corocodile Track|11. Mibirruk Mibirruk Ngayi|12.
Ngalek Ngurl Wak Wak
SIDE B : GOSPEL
※曲名をクリックするとその曲の解説へ飛びます。
SIDE A : TRADITIONAL
北西アーネム・ランドのOenpelli(現Gunbalanya)より東にあるManmoyiアウトステーションにおける録音です。ディジュリドゥのサウンド、曲のメロディともにGUNBORGスタイルの演奏だと推測される。ディジュリドゥの演奏は、「Lidn Mo-」という単純なフレーズの繰り返しが多用され、即興的な要素が少ないより伴奏的な演奏です。同一の曲調のものが多く、曲によって歌詞がそれぞれ違うようだ。ディジュリドゥのリズムがシンプルなので、こういったサウンドから演奏してみると、ブラナシのサウンドに近付くかもしれない。
Song Owner : Peter Naborhiborhi
Singers : Ross Guymala & Benjamin
Bamboo : Bob
1. Lizard Song(Madjarjimid)
トカゲが木や岩を登って、しっぽを振っている様子を表現したダンス・ソング。
2. Possum Song(Nadjorrkkong)
有袋類ポッサムの鳴き声をテーマにした歌。トラック1と同じメロディとリズム。
3. Mother and Son
息子が母親に対してぞんざいに接していた時、それが原因で殺されてしまったという話
4. Mimi Story
ある日、父親が息子をカンガルーの狩りへとMokmekの道へと送りだす。洞窟に近付くと、悪魔に見つかり、その子は顎を裂かれてしまう。帰った時に「一体どうしたんだ?」と父親にたずねられ、「悪魔に顎を食べられてしまった」と答えた所、クランの人々が集まり、その悪魔を殺せるように踊りを踊った。悪魔が近付いてくるように洞窟の中で踊り続けたが、実はこの洞窟には悪魔など最初からいず、その悪魔は呪術師のまじないのトリックだったのだ。呪術師は石斧を持ってあらわれ、岩をたたき割り、すぐに洞窟はそれによって閉ざされてしまい、皆死んでしまい、呪術師は立ち去る...
5. Bush Potato(Manyoh)
Mimiはよく、ブッシュの食べ物であるヤムイモをあつめ、料理し、分け合って食べるために人々を呼び、人々は一晩中踊り続ける。
6. Big Brother, Little Brother(nangamed Ngaligeh yi Wok Birdinu)
この曲は兄と弟の物語りのイントロ部分。
7. Big Brother Playing Games(Ngerlakkayeh Ngarrmahmer)
兄は弟に狩りに出ている間、自分の妻の面倒をみてくれるように頼むが、弟は兄に対して疑い深く、言う事を聞きたくはなかった。
8. Black Wallaby(Biyikwan Biluj Biluj)
昔、人々は火をつけ、その煙がまわりにひろがると、黒いワラビー(小型のカンガルーのような有袋類)があらわれて、「どこからこの煙がやってくるの?」とたずねる。ワラビーは座って煙を眺めているが、煙があまりに近付くとハンターに殺されてしまうのがわかっているので、逃げていってしまう。
9. Big Brother Looking After Little Brother(Keymulkah Yingu)
兄は継母に弟を見たかどうかたずね、継母は見ていないと答える。弟はミミ・スピリットに殺されてしまっていたのだった。
10. Corocodile Track(guyi Karrko Mondarrkki Ngangek)
弟は兄と兄の妻の3人で狩りに出かけ、クロコダイルの通った道を見つける。兄はそのクロコダイルをしとめることを決意し、兄とクロコダイルの壮絶な戦いの後、兄はクロコダイルに殺されてしまう。その後、弟は兄のために兄の妻と結婚する。
11. Mibirruk Mibirruk Ngayi
ロック・ワラビーは若い葉が育っている広い日影を探してやってくる。また、ほとんどの時間を洞窟ですごしたりする。ロック・ワラビーは食べ物をわけあうのがきらいで、洞窟の中で踊るのを好む。
12. Ngalek Ngurl Wak Wak
狩りに出かけたら、ブッシュの中で他の人と会うかもしれない。もし随分と長い道のりをきていたら、その人達と一晩過ごし、次の日に帰ってくるといい。もし誰にも会わなかったら、その日のうちに帰ってくることになる。
SIDE B : GOSPEL 13-22はアコースティック・ギターの伴奏と現地のアボリジナルの人々によるクリスチャン・ソング。現地の言葉で、家族での大合唱を各曲で聞くことができる。ギターのカッティングがタイトで、ハーモニックな歌声が不思議と聞きこんでしまう。『Bolkjam
Bungul』のB面にも同じようなクリスチャン・ソングが収録されているが、こちらの方がより洗練されたアイランダー・ソングという感じ。共通して感じるのは、やはり同じ感覚で曲を作ってるんだなと感じさせる彼等自身から溢れる明るさだろうか。
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