中央アーネム・ランドでの録音だと思われるドローンとトゥーツの両方を使った演奏スタイルのディジュリドゥを聴くことができるカセットです。
『Songs from The Northern Territory』シリーズをリリースしているアボリジナルとTorres海峡の島民の文化財団AIATSISからカセットで発売されている北オーストラリアのアボリジナルの録音。「Djambidj」はMorning
Star(明けの明星 : 夜明けに東の空にのぼる金星)の事です。
ステレオ録音の左チャンネルに歌、右チャンネルにディジュリドゥで、センターにクラップスティックになっているため、ディジュリドゥ部分だけをよりはっきりと聞く事ができる点がおもしろい。録音状態はかなり良く、低音のディジュリドゥの録音ながら、チャンネルを振り分けることでドローンをしっかりと聞くことができる。この単純な録音の仕組みは、伝統的なディジュリドゥの演奏方法を学ぶ人には非常に有意義な聞き方ができるだろう。
同名の本がStephen WildとMargaret Clunies Rossの共著で出版されており、曲の解説などはカセットのライナーにはなされていず、本に各曲の解説、歌の英語訳などが掲載されている。現段階では本が手に入らないため、レビューのみで曲の解説は本が手に入れば追加いたします。
Singers : Frank Gurrmanamana & Frank Malkorda
Didjeridu : Sam Gumgun
ディジュリドゥの演奏は、かなり伴奏的でシンプル。北東アーネム・ランドではある決まったリズム・パターンから多少離れた即興的演奏がされるのに対して、ここでの録音はかなり決まった曲という感がある。ブレイク部分とエンディングには必ず1秒程の長めのトゥーツが使われているのも特徴的。
詳しい解説が無い為、オーストラリア北部という事以外は不明だが、Sam Gumgunの演奏するディジュリドゥのサウンドには、トゥーツ(ホーン)の音が含まれているため、北東アーネム・ランドから北部中央アーネム・ランドまでの地域だと思われる。同じ曲名のソング・サイクルの一部が『Songs
from the Norther Territory 1』(CD 1962/1996 : AIATSIS)のトラック8に収録されている。このトラックは西アーネム・ランドのOenpelliにて62年に録音されたもので、通常この地域はGUNBORGスタイルであるはずなのだが、Burera言語グループ(Blyth
River周辺と思われる)のシンガー達によってOenpelliに持たらされたとされている。
また、『Songs of Arnhem Land』(LP 1958-60/1966
: AIAS)のトラック1にも「Djambidj」ソング・サイクルに属する、北西の風、ホワイト・カカトゥ、カラスの曲が収録されている。
ジャケット写真の動物はバンディクートと呼ばれるねずみのような有袋類です。
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