【いざリアル・アドベンチャーへ!っとその前に】 今回の僕らの旅で参加するアボリジナル主催フェスティバル一発目だった「Walking with Spirits フェスティバル」が幕を閉じ、それぞれの胸の中にさまざまな思いを抱えながら翌日キャサリンへと戻った5人。 キャサリンに着くと、すぐにカズくんを除く4人は次の旅の準備へとかかり始める。なぜカズくんを除くかというと、彼はGarmaフェスティバルへの参加許可証(Application)を持っていなかったからだ。事前に申請することで得られるこの参加許可証がなければフェスティバルに参加することは出来ない。詳しくはGarmaのサイト(※英語サイト http://www.garma.telstra.com/)をチェックしてみて下さい。
まずはアーネム・ランド内の滞在及び走行許可をもらうため、GORIくんとともに許可申請の行政機関である「ノーザン・ランド・カウンシル(※英語サイト http://www.nlc.org.au/)」へと向かう。 アーネム・ランドはアボリジナル管理区なので、外部の人間が入るには毎回必ず許可申請が必要になる。普段は「現地の人たちから招待を受ける」などの特別な場合を除いて、よっぽどの理由がない限り許可を得ることは難しいのだが、フェスティバルに参加する場合は特別に期間中に必要な許可がセットされている場合が多い。 先日参加したWalking with Spirits フェスティバルの場合、開催日とその翌日に限り「Wugularrコミュニティまでの走行」及び「一日限りの宿泊」が認められていた。 そして今回のGarmaフェスティバルに関しては「フェスティバル開催期間中の滞在」及び「車で向かう場合に限り、途中一泊を含むアーネム・ハイウェイの走行」が認めらていた。 ノーザン・ランド・カウンシルでメンバー全員分のGarmaフェスティバルへの参加許可を見せると、窓口のアボリジナルのおばちゃんが白黒コピーを閉じただけの薄っぺらい冊子をパサッと差し出してくれた。 「はいっ、これ。あげるから。よく読んでちょーだい!」 「あ・・、はい・・」 ゴッツイ体格をしたアボリジナルのおばちゃんの投げやりな感じの対応に面食らいながらその冊子を受け取る。そこにはアーネム・ランド内を走行する際の注意事項が書かれていた。たとえば、アーネム・ハイウェイ以外の場所に絶対に立ち入らないこと、狩猟、採取などの違法行為をしないことなどなど。そして最後のページ載っていたのは、いくつかの数字が並んだ手書き、いや走り書きのような図・・・。コピー機の性能が悪いのかめちゃくちゃ見づらい。 「まさかこれが・・地図・・!?」 それはアーネム・ハイウェイ沿いで特別に許可されている宿泊場所、そしてガソリンスタンドの場所を示す地図だった。一般の書店で販売されている地図に、アーネム・ランド内の詳細が記載されたものはまったくといっていいほどなく、この見づらい地図が僕たちにとって唯一の頼みの綱になるのだった。しかしどう見ても頼りない・・。 目を見開いて詳しく読んでみると、750kmの距離のうち宿泊が認められているのは5箇所のみ。しかも地図上の表示がめちゃくちゃアバウトで、キャンプ地を探すのはかなり大変そうだった。しかし指定の場所以外での宿泊は一切認められていないので、明るいうちにたどり着いておかなければ探しようがない・・。「時間配分が重要だな」と感じた。
国土の広いオーストラリア、とくにノーザン・テリトリーでは長距離にわたってガソリンスタンドのない区間が結構ある。しかし一般の道路で僕が体験した補給なし区間は一番長いところでもせいぜい230km。今回の420kmはさすがに未体験だ。しかも未舗装路。 実はノーザン・テリトリーにたどり着いて初めて気づいたのだが、ブッシュを走るランドクルーザーの多くが、このような無補給区間に対応するためガソリン・タンクを前後に2つ備えたダブル・タンクが主流だったのだ!恐るべしノーザン・テリトリー仕様!しかし大都会シドニーで車を購入した僕達はそんなこととは露知らずシングル・タンクの車を購入していた・・。
実はこのスプリット・リム、一人でも簡単にパンク修理を行えるという非常に有効なものらしい。あるサイトによると「タイヤを外すことなく、なかのチューブだけを交換できる装備」なのだそうだ。 僕達はココさんに教えてもらうまでこの名前すら知らなかった。しかしそれからキャサリンの町を走る4WD車をよく見てみると、あるわあるわ、大半の車がスプリット・リムだったのだ!これだけ多くの車が装備しているということになると、それだけブッシュでのパンクの危険性が高いということになる。万が一パンクした場合、簡単に修理ができないとなるとスペア・タイヤが必要だ・・。 スペア・タイヤは1本付いていた。しかしココさんは「絶対2本は必要だ!」とキッパリと言い切っていた。うむむむむ・・どうするべきか・・。 お寂しい財布事情のなか、想定外の高額出費の予感に頭が禿げそうになりながら、すこしでも安いスペア・タイヤを求めキャサリン市内の解体屋を総ナメにしてみることにした。しかしどこの店を訪ねても「ああ、それならここの店に聞いてみな」とたらい回しにされるだけ。そして最後に訪れた店で紹介されたのが「最初に訪れた解体屋」だったとき、僕達の中でなにかがプッツーンと音を立てて切れた。そして出した結論は・・ 「スペア・タイヤがなんぼのもんじゃい!こうなりゃもうやけくそや!このまま行ってまえぇぇぇ!」 まったく学習能力のない関西系イダキ・ヘッズ。結局、最低限の激安パンク修理キットと、前回の事故のことを考えてすこし奮発した工具セット、そして唯一お金を惜しまなかった予備ガソリンタンク(通称ジェリ缶)を購入し、そのままの装備で翌日キャサリンをあとにしたのだった。
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