Gori|ディジュリドゥ奏者
上野哲路インタビュー 〜Djalu Gurruwiwi Japan Tourについて〜

はじめに

今年7月に北東アーネム・ランド随一のイダキ・マスター「Djalu Gurruwiwi」が、彼の兄でGalpuクランのリーダーでもあるGurritjiri Gurruwiwi(ソングマン)、妻のDhopia Yunupingu(ダンサー)、妹のDhangal(ダンサー)、実の息子のWiniwini(イダキ奏者)、そして名ダンサーでイダキ奏者でもある Liyangkerrirr(Sylvester)の6人で来日する。

アボリジナルの人々を日本に招聘するというのは並み大抵ではない。ツアーのアレンジに費やされる時間、ビザの取得、彼等が快適に日本を過ごすための気配り、そして支払われる巨額なギャランティなど、ツアーの利益だけを考えてできる事ではないだろう。

哲Jポートレート

ディンカム・オージー倶楽部代表の上野哲路氏。かなりのイダキ・バカ、もとい情熱家である。

今回はそういったハードルを乗り越えてDjalu一家を日本に呼ぶというビッグ・プランを実現させようとしているディンカム・オージー倶楽部の哲Jこと上野哲路氏にその裏事情、ツアーの詳細、疑問などを一参加者、観客側の立場で率直に聞いてみた。

この上野哲路インタビューのページで使われているDjalu Gurruwiwiとその家族の写真の使用許可は、全てディンカム・オージー倶楽部が取得しており、その転載は一切禁止されています。写真の権利は全てDjaluとその家族に帰属しています。

Permission of all pictures which are used on these interview pages are taken by Dinkum Ausie Club(Tokyo) from Djalu and his family. Copy rights of pictures 2005 Djalu Gurruwiwi & his family, and Dinkum Ausie Club.



1. Djalu Gurruwiwiについて

Djalu ポートレート

白いオーカーを身にまとったDjalu Gurruwiwi

GORI: ディジュリドゥをやってる人にDjaluを知っている人は多いと思うのですが、Djaluの事を知らない人っていっぱいいてると思うんですよ。Djalu自身について詳しく教えてください。
上野: Djaluは北東アーネム・ランドのに住むGalpuというクラン(言語グループ)に属する75歳の長老です。通常、イダキ(この地域でディジュリドゥをさす言葉)を儀式などで演奏をするのは10代後半〜30代の若手が一般的なのですが、彼は今もなお、イダキ奏者として活躍している名実ともにトップ・プレーヤーです。
GORI: 75歳で現役バリバリっていうのは実際すごい事ですよね。
GORI:では次に、上野さんとDjaluの出会いについて聞かせてください。
上野: 6年前に、Garmaフェスティバルという北東アーネ・ムランドのお祭りに参加したときに出会いました。それまでは彼のことを全く知らなくて、その存在感に圧倒されたのを覚えています。それでも気軽に写真撮影に応じてくれたり、彼の寛容さに感銘を受けましたね。
GORI: Garmaフェスティバルに行った時にDjaluっていう存在を知ったんですよね。どうやって彼と知り合ったんです?そして初めて彼のサウンドを聞いた時の印象はどうでした?
上野: Garmaフェスティバル(※英語のオフィシャルサイト)に参加したときに、イダキ・マスター・クラスというのがあって、それに参加したときに初めて会いました。ヨォルングの伝統的なディジュリドゥの演奏方法を全く知らなかった私にとって、とまどいばかりでしたね。どうやってあんな 厚みのある音を出すことができるのだろう、と。
Djalu アップ

Djaluはサングラスがよく似合う

GORI: Garmaが最初の出会いだったんですねー。
Djaluは有名なディジュリドゥ職人でもありますよね。彼の作る楽器って何が違うんですか?
上野: ディジュリドゥといっても色々あります。ただユーカリの木に穴が空いているだけのものや、ぴかぴかに磨き上げたものとかね。でも伝統的なイダキっていうのは他のディジュリドゥにはないものがあるんです。
Djalu's Yindi Yidaki
Djalu Gurruwiwi作の巨大イダキ。このイダキはコンピレーションCD「WANGGANY -Didjeridu Unites Us One-」の録音の時に実際Djalu Gurruwiwiによって演奏されました。現在はディンカム・オージー倶楽部で非売品として展示されています。
イダキを削るDjalu

Djaluのイダキ作り。写真のようなナタ一本で巧みにイダキを削り出していく。

GORI: では、イダキがその他のディジュリドゥと違う所っていうのは何だと思います?
上野: それはその楽器にある背景じゃないでしょうか。Djaluをはじめ、北東アーネム・ラン ドのイダキ職人の多くは、彼らが儀式で使うのに必要な音色を想定してイダキ製作をします。DjaluのイダキもGalpuクランに伝わるイダキ製作方法で作られるのです。これまで彼は相当数のイダキを作ってきたと思いますが、彼の作った作品にはそういった背景を強く感じることができるものが多いですね。
GORI: 「楽器の背景」というのは具体的にはどういった事なんでしょう?
上野: 一言で言えば「伝統」ですね。一般的に販売されているディジュリドゥの多くは、伝統的に使われているイダキなどを伝統的な作り方をしないアボリジナルやノン・アボリジナルの人たちがまねて作ったものが多いのが実情です。そういった楽器は製作の過程で儀式などを想定して作ったものは、とても少ないと言ってもいいのではないでしょうか。
Gori: Djalu Gurruwiwiについてもっと詳しく知りたい人のために、その他に何か情報があったら教えてください。
上野: Earth TubeのHP内のGuan Lim氏によって書かれた「Djalu Gurruwiwiの伝記」や、ディンカム・オージー倶楽部のHP内にある「ガーマ・フェスティ バル報告記」などを見るともう少し彼の人間性を感じられると思います。
Djalu Japan Tour 2005
チケットの予約・ツアーの詳細はディンカム・オージー倶楽部まで
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