ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 2 -大陸縦断 前編 3-

【聖地巡礼】

Goriくん、ノンくんの汗と涙によって、無事「トゥルーピィー」を手に入れることができた僕たちは、ついにシドニーを旅立つ日の朝を迎えていた。車を修理するのに2日かかったため、すこし予定がずれ込み、出発日の今日は7/25。

まずは7日後の7/31にダーウィンの隣町、キャサリン近郊に位置するアボリジナル・コミュニティ、Wuglarrで開催されるフェスティバル「Walking with Spirits Festival」に参加する予定になっていた。

調べてみるとシドニーからキャサリンまでの距離は約3,800km。あるホームページによると「最北端である北海道、宗谷岬から、最南端である沖縄、波照間島までの距離は3,200km」ということなので、シドニーからキャサリン間は日本縦断よりも長いことになる・・。
オーストラリアの道は地平線まで果てしなく続く・・
オーストラリアの道は地平線まで果てしなく続く・・

うーーむ、ちょっと大変だけど、やるしかないでしょ!

ここまでくれば必然的に最短ルートを選ぶのが当然だと思うのだが、僕たちはあえて約500kmの遠回りになるメルボルンを経由するルートを選んだ。なぜかって?答えは簡単。メルボルンには世界中のイダキ・ヘッズ(Grateful DeadのファンがDead Headzとよばれているように、僕たちはイダキに魅入られた人達のことを「Yidaki Headz」と呼んでいる)にとって、ぜひ訪れてみたい場所、そして会ってみたい人物がいたからである。その人物の名前はGuan Lim氏(以下グアン)。

メルボルンのGuanさんの家で

Guan Y. Lim氏、自宅にてマウスピースがボトルネックになった年代もののイダキを手にビッグ・スマイル。

Earth Tubeにもリサーチャーとしても参加しているグアン氏は、オーストラリアのノーザン・テリトリー州にて人類学のフィールド研究を続けており、複雑なアボリジナル文化とそれに関わるディジュリドゥの役割とその意味への認識を深めている。

またオーストラリアのディジュリドゥに関する文化的サイトである「 IDIDJ Australia」のコーディネーターをしている。

・Earth Tube内のGuan氏のページ(日本語)
 http://earthtube.com/research/guan/
・IDIDJ Australia(英語)
 http://www.ididj.com.au/
彼のイダキ・コレクションは世界有数で、アーネム・ランドを訪れてもめったにお目にかかることのないような、セレモニーで使用されたイダキなど貴重なものが多い。事実、過去にはメルボルンの美術館でイダキ展を開いたほど。また定期的にDjalu Gurruwiwi氏のもとを訪れ、イダキからアボリジナル文化まで幅広く学ぶ「Cultural Study Tour」を主催している。僕は去年このスタディ・ツアーに参加したのだが、Garmaフェスティバルなどとはまた違った貴重な体験をさせてもらった。

つまり、今回メルボルンの彼の家を訪ねることはアーネム・ランドを訪れるのとはまた違った意味での「聖地巡礼」だったのだ。そしてこの話を聞きつけたグアンの友人であり、元レゾナンスの凄腕イダキ・プレーヤーJeremy Cloake(以下ジェレミー)が飛び入り参加で加わって、まだ薄暗く凍えるように寒い早朝のシドニーをあとにしたのだった。