ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 2 -Gamraのディープな楽しみ方編 4-

【ご挨拶はお忘れなく】

アボリジナルの人たちは一度出会った人たちのことをとてもよく覚えている。

僕が2004年にYirrkalaを訪ねたとき、Yothu YindiのYidaki奏者であるGapanbuluと話をする機会があった。そのとき僕とユウジは、Djaluの家に置いてあったGapanbuluのYidakiを使って練習させてもらっていたので「あのYidaki、君が作ったんやって?めっちゃええYidakiやね!!」と声を掛けてみた。すると彼は「そうだよ。俺が作ったんだ。あれ、いいだろう?Manymakだよ。」と爽やかに答えてくれた。しかし彼は次の用事があったらしく、すぐに車でどこかにでかけてしまった。そのやりとりは時間にして3分ぐらいだっただろうか。

このとき僕らが練習に使っていたGapanbuluのYidakiは、Djaluがセレモニーのためにアートセンターから借りていたものだと後日判明した。そして不思議なことに、今このYidakiはEarth Tubeのコレクションになっている。
Djalu ga Gapan
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その数週間後。Darwinに戻っていた僕は、街中でばったりGapanbuluに出会った。Yirrkalaで話したのは一瞬だったし、覚えてないだろうなと思いつつも声を掛けてみると「ああ、もちろん覚えてるよ。Ski Beachであったよね。Ngarrtjiだろ?」とスキンネームまで覚えていてくれていた。このとき僕は彼らの記憶力にビックリしたのだ。

そして話は戻って今年のGarma。食堂でご飯をモリモリと食べていると、遠くからこちらをジッーっと見つめるアボリジナルのおばあさんがいた。「ん?あの人、こっちを見ているような・・」と気になりつつもサラダをほおばっていると、そのおばあさんはついにシビレを切らしたように「こっちへ来い!」と手招きを始めた。これはさすがに何かあるなあと思って彼女のところに行ってみると「あんたっ!なんで家族に挨拶に来ないんだい??まったく・・」と憤慨している。そこで必死に記憶の糸を辿り・・わかった!「もしかして・・Waymamba(Charles Darwin 大学のYolngu語の先生)の家族の・・おばあさん?」と僕が言うと彼女は急にうれしそうな顔をして「そうだよ!!ほらほら、早くみんなにも挨拶しなさい!!」といって周りにいた家族に紹介してくれた。

よくよく思い出してみると実は彼女と会ったのは去年2度だけ。それも別にずっと一緒に居たわけではなく、ちょっと挨拶して軽く会話した程度だった。そのとき一緒に10人程度のGupapuyunguの家族を紹介されたのだが、数分後には名前や関係をほとんど忘れてしまっていた。このおばあさんも辛うじて思い出した程度。なのに彼女はこちらのことをとてもよく覚えてくれていた。

それからというものこちらを見つめるアボリジナルの人たちがいると気になってしょーがない。とりあえず気になった人には手当たり次第手を振ってみることにしたのだが、これが意外に効果があった。極めつけは5歳ぐらいの子供まで僕のスキンネームを覚えてくれていたのだ!こんなに多くのアボリジナルの人たちが僕のことを覚えてくれているなんてうれしいやら困るやら・・。別の日に食事の列に並んでいた若い女の子たちと何度も目があったので「まさか・・またか??」と思い手を振ってみると・・・大爆笑!!どうも彼女達は関係なかったみたい。意識過剰もほどほどに・・。