ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -ミンディルビーチ・マーケット編 12-

【引きどき】

バスキングも最後が近づき、彼らは酔いがまわりだんだん何を言ってるのかわからなくなってきた。僕らは今までの経験からこういう状態の「引きどき」のようなものを感じていた。

まずGORIくんが「そろそろやな・・・」とつぶやく。 僕も「そろそろやね・・・」と答える。 そして、よし!と立ち上がりかけたとき、近くに座っていたおばちゃんが急に叫びだした。

「エクスキューズミー!サー!!」

やばい!予感的中!これは早急に脱出しなければ、とその場を離れ・・・られない!なんで?なんとそのでかいおばちゃんがすごい力で僕らの腕をがっちりつかんでいたのだ! もうこうなったら逃れるすべはない。「あーあ、もうどうにでもしてくれ」といったあきらめ感が僕のなかで漂った。

コミュニティのバー

コミュニティの近くには大体写真のようなバーがある 彼らは本当にお酒が好きだ アルコールに弱いというよりは飲みすぎだと思う

おばちゃんは半ばヒステリックな感じで僕らに何かを訴えかけていた。

「彼がバスキングしたお金をすべてもっていってしまう!」

と、おばちゃんが指差しているその先には・・・ブロンソン。やっぱりこの人か・・・。彼のトラブルメーカーぶりにしばしあきれた。でもちょっとまてよ?目の前にブロンソンがいるのになんで僕らに言うんだろう?という僕らの疑問をよそに、おばちゃんは僕らの腕をつかんで離そうとしない。 そうこうしているうちにブロンソンは何事もなかったかのようにお金を集め、さっさと引き上げてしまった。

「直接彼に頼めばいいじゃないか!」と僕らが言うと

「彼はもういってしまったからどうしようもない。ジャパニーズ・モブは私たちをほっていくっていうの?いっしょにバスキングをした仲間だっていうのに!だったら私たちの宿代を出してちょうだい!」

「へ・・・・?」

理解するのにすこし時間がいるぐらい理不尽な話だった。 そんなのありですか?

ここから僕らは延々30分以上もめにもめた。最終的にはガードマンがきて「とにかくこの場を離れなさい」とひとこと。 いや、だから離れたくても離れられなかったんだってば。

結局ガードマンの仲介もあり、僕らは晴れて自由の身になることが出来た。だけど僕らがその場を去ろうとするとおばちゃんはまだ叫んでいた。

「ジャパニィーズ・モブは私たちをほっていくわ!!なんてひどいんだろう!」

そんなおばちゃんの叫び声を背中で聞きながら、僕らは後味の悪いままミンディルビーチを後にした。みなさん、こういう場合の引き時はほんとうに大切です・・・。

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