ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -ミンディルビーチ・マーケット編 11-

【彼らの定番 Yellow Box】

オーストラリアでは箱ワインが結構ポピュラーだ。 四角い箱に入って2リットルとか4リットルで売られているのだが、これが結構いける。 値段は2リットル入りのものが10〜15ドル程度で買えるので、考えようによってはビールを飲むより安く済む。 アボリジナルの人達はこの箱ワインがとにかく好きだ。 ミンディルビーチで出会った人たちも例外ではなかった。

「なあ、ブラザー、おまえバイク乗ってるんならYellow Boxを買ってきてくれないか?」

僕はそのときYellow Boxがなにかまったく知らなかったので、なにそれ?って感じだった。

「Yellow Boxだよ!ムセルだよムセル!! わかった?」

いやまったくわかりません・・・Mussel(ムラサキ貝)ならしってるけど。つまみでも買ってこいってことか?

「だからあー、Moselle!ワインだよ!ワイン!」僕の聞き取りではムセルに聞こえたのだが、どうもモーゼルワイン(ドイツの辛口白ワイン)というのがあるらしい。

ブッシュに転がるYellow Boxの箱

アウトバックに打ち捨てられたYellow Boxの箱 ここは周囲になにもないアウトバック なんでこんなところに?

あーなんだワインかー。だったらはじめからそういってくれればわかるのに。ってワイン!おっちゃんたちはやっと分かったかという感じで満面の笑みだ。一方僕のほうはと言うと笑えるどころではなく、どちらかというと引きつっていた。GORIくんのほうを見ると彼もなにか感じたのか苦笑いをしていた。あちゃーこりゃやばいなあという予感がした。

ビールを飲んでいるぐらいならみんな陽気で楽しくすごせる場合が多い(例外はある)。しかし一転、ワインを飲んでいるアボリジナルの人は非常に危険度が高い。 酔いが進むと大概の人はろれつがまわらず、まっすぐ歩けず、わけのわからないことを叫びまくったりする。

普段すごくいい人でもまったく別人のようになる場合があるのだ。ときにはファイティングもあり、おばちゃん同士のすさまじい殴り合いを目撃したこともある。僕はこの手の人と一緒にいていい思いをしたことはなかった。

とはいうもののこの状況で買ってこないというのもなんとなく申し訳ない。僕は何事も無いことを祈りながらYellow Boxを買いにはしった。 まあ、案の定、この祈りはまったく通じなかったのだけれど・・・。


【閑話休題】

ここでちょっと話はそれるけど、ワインがらみで。 基本的にダーウィン(オーストラリア全土?)では道や公園での飲酒が禁止されている。 見つかれば罰金を支払わなければならないらしい。 そんな中でアボリジナルの人達が使っている方法がある。

なんと赤ワインをコーラの、白ワインはスプライトのペットボトルにいれて飲むのである。

なるほど、これならパッと見にはバレにくい(必ずしもバレないわけではない。炭酸のアワがないし)。アボリジナルの人達はうまいこと考えたもんだと思った。