ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -ついにNicky Jorrockに出会う編 5-

【Belyuenコミュニティのチャールズ・ブロンソン】

ゆったりと充実した時間を四人で過ごしたあと、突然NickyがMitchinにチャールズ・ブロンソンを呼びに行こうと提案した。映画俳優のチャールズ・ブロンソンなら知っているが同姓同名の人がBelyuenコミュニティにいるんだろうか?不思議に思った僕はNickyにそのことを訪ねてみた。

「チャールズ・ブロンソンってあの有名な映画俳優の?」

「わははは!そうさ、俺達のチャールズ・ブロンソンがいるんだよ。ほんとにそっくりなんだ。彼の本当の名前は別にあるけど俺達のコミュニティではみんな彼のことをチャールズ・ブロンソンって呼んでる。彼はすばらしいソングマンだから今から一緒に呼びに行こう!」

そりゃすごい!また一人すごいソングマンを呼んでもらえるなんて。ぜひ呼びに行こう!僕らはMitchinの車に乗り込んでBelyuenコミュニティへと向かった。

マンドーラの看板

マンドーラの港にある看板。ここはダーウィンの向かいにあるCox Peninsulaという半島だ。

マンドーラの港は許可なしでも訪れることができるが、ここでひとつ注意してほしいのはBelyuenコミュニティの中へはカウンシルからの許可がないと入れないということ。今回の場合、Nickyが一緒にいてくれたので招待される形になり、許可なしでも入ることができた。

Belyuenコミュニティはマンドーラの港から車で数十分の場所にあるコミュニティだ。町に着くとNickyがチャールズ・ブロンソンを探して通りがかりの人に彼の居場所を聞き始める。

「Hey!おまえチャールズ・ブロンソンを見たか?」
「チャールズ?さっきどっかへ歩いていったぜ」

道端で数人に彼の居場所を聞いたが確かにみんなチャールズ・ブロンンソンと呼んでいる。よっぽど似ているのだろうか・・。早く会ってみたいと思うのだが、肝心の彼の居場所を知っている人になかなか出会わなかった。Nickyが「こりゃ困ったな」というような表情をする。そして次に通りがかった3人組みに声を掛けると、ついに彼の居場所を知っていた!

「チャールズならブッシュで飲んでるぜ。そこまで連れてってやるから乗っけてくれ。」

「乗っけて?いやいやこの車はすでに定員いっぱいなんですけど・・」と思ったのも束の間、彼らはグイグイと無理やり体をねじ込んできた。これが本当のスシズメ状態? Mitchinも「車が壊れる!!」と必死に断ろうとするがお構いなし。5人乗りの車にいい大人が8人もギュウギュウ詰めになった。息苦しいし、暑苦しいし・・。

「はあ??・・」というMitchinの大きなため息とともにそのままの状態で車はブッシュへと入り込んでいく。 ガタン、ゴトン、バリバリバリ。でこぼこ道と枝に車体を傷つけられながら車は奥へ奥へと進んでいく。「こんなとこで何してんのやろ?」と僕らが思い始めた頃、急に目の前が開け、川のそばのちょっとした広場のような所へ出た。 見ると川では数人のアボリジナルの女性が釣りをしていて、そのそばでこれまた数人のアボリジナルの男性が酒盛りをしていた。

「ヘイ!チャールズ!」

Nickyが酒盛りをしてる中の一人の男性に声を掛けたがまったく反応がない。

Nickyはさらに大きな声で彼を呼ぶ。すると彼はのっそりとした動作で立ち上がりフラフラとこちらへ近づいてきた。Nickyが「見てみろチャールズ・ブロンソンそっくりだろ?」と僕らに同意を促した。


しかし実をいうと僕は俳優のチャールズ・ブロンソンを見たことがなかったので、似ているのかどうかまったくわからなかったのだが。

「おい!チャールズ!彼らがお前の歌を聞きたいっていってるんだ。一緒にきて歌ってくれよ」
Charles Bronson

彼が噂のチャールズ・ブロンソン。似てますか?彼はBelyuen一といっても過言ではないほどの強烈な個性をもっている。(Copy right 2004 Charles Bronson)

「。、・:@;:、m」
「あちゃー、こりゃあだめだ・・」

Nickyが両手を広げてお手上げだなというジェスチャーをした。チャールズはすでに泥酔状態。バッチリ出来上がっていて何をしゃべっているのかまったく検討もつかない。しゃべることもままならないこの状態では歌うことは到底無理だろう。結局僕達は彼を誘うことをあきらめて海岸へと戻った。

そのあとNickyは「酒は俺達をだめにするんだ!!」と声を荒げていた・・。