ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -ミンディルビーチ・マーケット編 8-

【ショック! ポテトのカス事件】

たくさんのアボリジナルの人々がミンディルビーチ・マーケットを訪れる。話を聞いていくとアーネム・ランドのさまざまな地域から集まって来ているのがわかる。ダーウィンに一番近いBelyuen Communityをはじめ、Yirrkala、Maningrida、Ramingining、Goulburn Islandまで、本当にアーネム・ランドの各地から人が集まってきている。

僕らもマーケットでは本当にすばらしいディジュリドゥ奏者から、「えっ?」と目を(耳を?)疑いたくなるような自称ナンバーワン・プレイヤーまで、本当にさまざまな人に出会った。 そんな中その事件は起こった・・。

のりくんと僕はいつものようにブロンソンと一緒にバスキングをしていた。 すると5〜6人ぐらいのアボリジナルの人たちが集まってきていっしょに踊ったり歌ったりし始めた。

おばちゃんは女性特有のステップで踊り、おじちゃんはハチャメチャ(に見えた)に踊る。 これが結構楽しい。大勢集まるとまるでカラバリーのような雰囲気になる。 僕らがここで期待するのは当然、リアル・ディジュリドゥ・プレイヤーの出現である。 そしてその時がきた!おじちゃんのうちの一人がスッと手をのばしてこう言ったのだ。

ノリ plays ラッセル・アシュレイ

のりくんがこよなく愛するRussel Ashley作のディジュリドゥ

「(のりくんに)おい、おまえのを吹かせてみろ!」

きたー!ついにきた!見た目は十分合格ラインである(べつに基準はない・・・)。この人がすごいプレイヤーだったら絶対教えてもらおう! 僕とのりくんは期待に胸を膨らませた。 そして・・・・

「ブッブーブオー!」 えっ?

「ブホッツ、ブブオー!」 あれっ?

そのおじちゃんはこれでもか!というぐらい必死に吹きまくる。その表情に余裕は微塵もない。 違う!絶対に違う!これはまったく期待していたのとは違うーーー! そう気づいた時にはときすでに遅し、のりくんの大切なディジュリドゥは悲鳴をあげていた・・・。

そして数分後、マウスピースから生温い蒸気を上げながらそれは戻ってきた。 のりくんは手元に戻ってきたそれを確認し、ショックのあまり声もでないといった感じで 僕にディジュリドゥのなかを確認するように促した。

そして僕は見た。大量のヨダレとともに散乱したフライドポテトのカスを・・・・。それ以来、のりくんはディジュリドゥ貸し出し恐怖症になったのだった。