ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -ミンディルビーチ・マーケット編 1-

【やっぱりダーウィン!】

ミンディルビーチマッケットはドライシーズンの間開催される、 ダーウィンでもっともにぎやかな野外マーケットだ。 日本のガイドブックなどでも多く紹介されているのでご存知の方も多いだろう。

僕は日本にいるときからこのマーケットをとても楽しみにしていた。 なぜなら、多くのアボリジナルの人たちがバスキングをしているという噂を 聞いていたからだ。 僕がダーウィンに来てからまもなくしてマーケットが始まったので、大学でYolngu語を勉強していたノリくんとともに、ディジュリドゥ片手に繰り出した。

このマーケットはアジア系を中心とした多彩な屋台が軒をつらね、ただブラブラと歩くだけでも結構楽しい。 僕らはちょこちょこと店を覗きながらアボリジナルのバスカーの人たちを探していた。 すこしすると遠くから聞き覚えのある規則的な音が聞こえてきた。

カンカンカン・・・

「あっ!クラップスティックの音だ!」

僕らはどちらともなく思わず声がでてしまった。 はやる気持ちを抑えつつ、音を頼りに人ごみをかき分けていく。そのうち歌も聞こえはじめ、中央の広場のようなところに出た。

ダーウィン郊外の写真

ミンディルビーチ・マーケットで歌うブロンソン Groote Eylandt出身のソングマンだ

どっしりとした体格のアボリジナルの男性が地面にすわりクラップスティックをたたきながら歌っている。彼は僕らがディジュリドゥを持っているのを見ると、ニマッと笑っていきなりこう言った。

「おまえら、ここに座って吹け!」

その言葉に僕らは興奮を隠せなかった。

ついにアボリジナルのソングマンと一緒にディジュリドゥを吹くという夢がかなう!ただただ素直にうれしかった。だってそのためにダーウィンまで来たのだから。

男性の横に座りバスキングの許可証を見ると「ブロンソン」と大きく名前が書いてあった。

これが後々いろいろな意味で関係が深まるブロンソンとの最初の出会いだった。


【ミンディルビーチマーケット情報】

Mindil Beach Market
期間:ドライシーズンの5月から8月まで
曜日:毎週木曜日および日曜日
時間:木曜日 PM5:00〜PM10:00、日曜日 PM4:00〜PM9:00
  ※.時間等は変わる場合がありますので必ず確認してください
カンチくん on Mindil Beach

夕暮れのミンディルビーチでディジュリドゥを吹くカンチくん
ビーチの真正面の水平線に太陽が沈んでいく

場所はダーウィンの市内からすこし外れていて、歩いて40〜60分ぐらいだろうか。 バスなら市内から4番に乗りミンディルビーチで下りる。 普段は人もほとんどいない静かなビーチが、マーケットの日はがらりと雰囲気を変える。

車、車、車、人、人、人・・・、夕日の時間を目指して人がどんどん集まってくる。 普段道を歩いている人もあまり見かけないダーウィンに、「こんなに人がいたの?」 という感じだ。

ミンディルビーチの夕日はとても有名らしく、わざわざ椅子やワインなどを持ち込む人もいて、ちょっとしたパーティ会場のような雰囲気だ。 確かに真正面の地平線に太陽がすこしずつ沈んでいくさまは一見の価値はあると思う。

規模的には日本でいえば地元の大きな縁日のお祭りぐらい。 僕はアジアを旅したことはないのでわからないのだが、 多くの人が「アジアのマーケットに近い」と言う。

確かに見てまわるとアジアの人の屋台が多い。 インドネシア、タイ、中国、マレーシアなどなど。 どこもほどほどの値段で、量、味ともにバライティにとんでいる。

ディジュリドゥを扱うお店も数件あるが、基本的におみやげっぽいものが多く いいものを見つけるのは難しいかもしれない。

ダーウィン郊外の写真

写真は僕のおすすめの屋台 テイクアウトして浜辺で夕日を見ながら食べる


【Groote Eylandt 紹介】

Groote EylandtはYirrkalaの南、カーペンタリア湾に浮かぶ大きな島だ。 ノンアボリジナルにとって訪れることの難しい地域のひとつではないだろうか。 アボリジナルの人たちのために定期便が出ているようだが、許可がない限り僕たちが訪れることはできない。ただ、ダーウィンからケアンズへ向かう飛行機に乗るとこの島の上空を飛ぶので空から眺めることはできる。

この島の人々の歌には、特徴的なスタイルがあり、二本のディジュリドゥを使ったり、ソングマンが喉を震わしながら歌ったりする。 そのあたりはいくつかの音源の中で聞くことができる。

彼らの言語でディジュリドゥは、Yiragaと呼ばれ、数人の達人の演奏は度肝を抜かれるぐらいすごい。特にMagunやMungayanaという人達の演奏は個人的におすすめです!詳しくはGORIくんのリサーチページで見れるディスコグラフィを参照してください。