ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 2 -新たなる旅の始まり編 2-

【そしてカラバリーが始まった】

僕はさっそく一本のディジュリドゥをNickyに差し出した。それはMitchinが僕と真弓の結婚祝いとしてわざわざオーストラリアから送ってくれたもの。Mitchinいわく「もっともKenbiスタイルに適したディジュリドゥだ」という。 僕はMitchinへの感謝を込めてそれを日本から持ってきていた。

そしてそれをKenbiスタイルの第一人者であるNickyに使ってもらうことは今回の旅の大きな目的のひとつだった。その夢が、今実現しようとしている。

「ヘーーーイ!!」

Nickyは僕らの期待を察してか、苦笑いしながらそう小さくつぶやいた。そして差し出されたディジュリドゥを受け取ると、いつも通りの軽やかな動きで口にあて、リラックスした様子で吹きはじめた。

やっぱりすごい!改めてそう思った。柔らかく軽やかなのに何層にも重なったかのような複雑な倍音。そこにNicky独特の喉の響きがさらに絡み合っていく。その音には彼の個性が溢れ、聞いていると体の余分な力が抜けていく・・そんな気持ちのいい音だ。 北東アーネム・ランド、Yolnguのテクニカルなスタイルとはまた違うおもしろさがそこにある。彼が吹き終わると僕たちのテンションも一気に高まった!
NickyとマイKenbi

このディジュリドゥがMitchinからプレゼントされたもの。

「ヨー、Nickyーーー!!!」

掛け声にも思わず力が入る。そして照れたように笑うNickyは去年と変わっていなかった。