ヤス(カラキ ヤスオ)|在豪イダキ奏者
ブラブラ日記 -バルンガ・フェスティバル編 7-

【ディジュリドゥ・コンペティション】

Barungaフェスティバルでは毎年ディジュリドゥ・コンペティションが開かれる。 過去には日本人ディジュリドゥプレーヤーであるGomaさんが準優勝し、話題になったことでも有名だ。僕らもそのコンペティションにエントリーしていた。

コンペティションはその日の夕方から開催されることになっており、時間が近づいてくると会場であるメインステージ前には少しずつ人が集まってきていた。日本人の参加者はユウジ、カンチくん、そして僕の3人。 ほかに海外からの参加者が4人程度。僕はもっと大規模な大会を想像していたので、この人数ではなんとなく寂しいような気がした。地元の人たちの参加者は6人ぐらい。 White Cockatoo Performing Groupのウェブサイト上でディジュリドゥ製作者のリストにも名前が載っていることでも有名なMicky Hallも参加していた。

ユージの演奏

写真は緊張気味に演奏をするユウジ

本番はアボリジナル部門とノン・アボリジナル部門の2部門に分かれて開催され、まずカンチくんが日本人のトップを切ってステージ中央へと進む。路上でコンテンポラリーを吹いてきた彼は、細かいリズムで全体をまとめていく。緊張しているせいか音がすこし硬いけれどなかなかいい感じだ。

次に僕。こういう舞台は始めてだったので緊張しまくっていてどんな風に吹いたのか正直まったく覚えていない。ユウジとカンチくんが言うにはなかなかよかったのだそうだ。まあ後で録音されたものを聞いて愕然とすることになるのだが。

そしてユウジが登場する。彼の演奏スタイルはコンテンポラリーなのだが音がマイルドでどこかトラッドのような響きがする。そして彼が得意のリズムを披露すると会場全体も盛り上がっていた。僕の印象としてはユウジが一番よかったように思えた。

順位の発表は最後ということになり、続いてアボリジナル部門が開催された。 やはりみんな音の響きがぜんぜん違う。深いというか複雑というか根本的に何かが違うといった印象を受けた。しかも各半族ごと、さらには各言語グループごとに違うスタイルで演奏されたのが興味深かった。

進行役であるトミーが彼はYirrirja、彼はDhuwaというように一人一人に説明を加えていく。そしてWugullarrコミュニティの有名なディジュリドゥ職人であるMicky Hallが登場したのだが、このとき僕は一人で「おいおいっ!」とつっこみを入れていた。なぜかという僕が「Mickyはコンペティションでるの?」と尋ねるとこういっていたからだった。

わしはもう年だからディジュリドゥは吹けないんじゃ・・・」

大嘘だった。しかも彼はしっかり優勝していった。
Micky Hall

彼がMicky Hall。ディジュリドゥ職人でもあるが彼はすばらしいソングマンでもある。(無断転載禁止 Copyright Micky Hall 2004)

そして彼が吹き始めると・・耳が痛い!MDの録音レベルをあらわすメモリは一気に振り切ってしまっっていた!あわてて録音レベルを下げる。やっぱりこうやって聞くとものすごい爆音だ。さっきのレッスンで聞かせてもらったのとはまるで印象が違っていたのがおもしろかった。

こうして一通りの人が演奏を終え、いよいよ結果発表。

最初にノンアボリジナル部門の発表がはじまったのだが優勝は僕らの誰でもなかった。 続いて2位は・・・ユウジ・マエダ!!!

なんとユウジの名前が呼ばれた!すごい!やったなユウジ!! ユウジは照れくさそうに笑いながら賞金を受け取りに行く。賞金はなんと100ドル!ユウジはみんなの祝福を受けながら帰ってきて僕らにきっぱりこう言い放った。

「明日の晩はココズに帰って100ドル全部飲み食いに使いましょう!!」

うひゃーなんて太っ腹な発言!フェスティバル期間中キュウリばっかり食べて過ごしていた僕たちは小躍りしながらそれぞれのテントへ帰っていった。そしてフェスティバル最後の夜は参加したみんなでゆっくり話をしながら楽しく更けていった。

BarungaフェスティバルはMerrepen Artフェスティバルのことを思うと一切トラブルもなく、とても充実した内容だった。ここで出会った日本人の友達も最初はアボリジナルのことに関してさほど興味があるわけではなかったようだが、終わるころにはかなりの興味を持ち始めていた。事実、はなちゃんやコリとはこの先のいくつかのフェスティバルに一緒に参加することになるのだから。僕の次の予定はPine Creek Gold Rush Festivalだ!

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